on the air:『オーケストラの森―仙台フィル』

c0060659_838362.jpg【2008年11月14-15日 仙台市青年文化センター】
●サンサーンス:Pf協奏曲第5番ヘ長調 op.103 《エジプト風》
→横山幸雄(Pf)
●ストラヴィンスキー:バレエ組曲《火の鳥》(1919年版)
⇒パスカル・ヴェロ/仙台フィルハーモニー管弦楽団
(2008年12月20日/NHK教育テレビ)

布団に包まって鑑賞。

同じ東北でも、僕の生まれ育った秋田に比べて、大都会仙台はもう少しドライというか、いや、人から受ける感じはドライなんだけど、街のにおいは冷たく湿っているというか、ちょっと不思議な場所です。
(それが良い悪いという話ではありません。)
今回初めて仙台フィルを耳にして、団員さんたちも仙台出身の方ばかりじゃなかろうってのは承知の上ですが、そんな印象もあながち的外れではないなあと思った次第。

サンサーンスの《エジプト風》第1楽章第2楽章、ここがすこぶるよかったと思います。ピアノがかなりオンマイク気味で、オケは十分に捉えられてはいませんでしたが、それでも独特の冷涼な響きが伝わってくる。あのエキゾチックな「雰囲気美」に下品な調味料をかけたりすることなく、オトナな感じのアンサンブルを醸成しています。弱音に繊細な表情をつけるのがとても巧いオケだなあと。
つまり「オレがオレが」という自己主張にはあまり重きを置いていないようなんですが、しかしそれはともすれば「どうぞどうぞお先にどうぞ」というおかしな謙譲精神につながりかねない。華やかなはずの第3楽章もちょっと落ち着きすぎのように感じられますし、一方で我慢に我慢を重ねて耐え切れずに一線を越えてしまうと、空回りして素っ頓狂な金属音が聴こえてきたり、、難しいですね。前半の巧みな弱音さばき、よかったんだけどなあ。

後半の《火の鳥》組曲にも同じことが言えてしまうかなあ。
〈序奏〉〈王女たちのロンド〉〈子守歌〉といった優しくメロディアスなナンバーは旋律線の綾がきれいに重なり、奥ゆかしい美しさがあったのだけど、〈カスチェイの凶悪な踊り〉〈終曲〉はキンキンと聴き手の耳に喰らいつくような音が放射されてしまっていてとても残念でした。指揮者パスカル・ヴェロの曲づくりからはけっこう派手好みな印象を受けるので、果たしてオケの方向と指揮者の方向が一致しているのかという疑問も少し残ります。一度限りの視聴体験では何とも言えないけど。

名フィルの薫陶を受けて地方オケの魅力に取りつかれた今、すみだトリフォニーの「地方都市オーケストラ・フェスティバル」が楽しみですが、2009年は大阪シンフォニカーと群響だけなんすね。東京でも名フィルが聴きたい!
by Sonnenfleck | 2008-12-23 08:40 | on the air
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