バッハ、雑煮、エレーヌ・シュミット。

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当方の実家の雑煮はかなりシンプルなほうなのではないかと思います。脂肪を持ったものを一切入れない昆布出汁ベースのすまし汁で、具もネギにマイタケ、ゴボウに大根おろしだけ。餅は焼いた角餅。以上。
子どもの頃は黒々とした外見も相俟って実につまらない食い物だと思っていましたが、いつの間にかその華やかな風味を好むようになっていました。さしずめ昆布とマイタケとゴボウのフーガといったところ。

エレーヌ・シュミットによるバッハの無伴奏も、最初に聴いたときに印象が悪かったのでしばらく放ってあったのです。
彼女の演奏は、ハイフェッツやフランチェスカッティやガッティのような均質な美音を重視する自分の好みから大きく外れる。むしろ大昔に聴いたシゲティの録音を思い起こさせる峻厳な音色でもって、鑿で時間の木を削り落としていく厳しいバッハなんですな(これがAlphaから出てるのが面白い)。

もったいないからiPodに落とし込んで、初めはとにかく無理矢理聴きます。何度も繰り返し聴いて、一見すると荒々しいアーティキュレーションに彩られているこの演奏が、実は余分なものを一切入れないようにしてストイックに構築された完全な造形物なのだということに気がつくまで、それほど時間はかかりませんでした。
そのストイックさは第2パルティータでもっとも顕著であり、シャコンヌに至るまでの舞曲(サラバンドが壮絶!)は、墨の濃淡と筆圧の高い強靭なフォルムで造形された厳格な演奏に仕上がっております。ううむ。

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今年はこれが聴き納め。ランキングのディスク編はやっぱり間に合わなかったので、来年早々にこっそり提出致そうと思います。
テキトーな文章に一年間お付き合いいただきました皆さま、本当にありがとうございました。恐らくこの先もずっとこのままですが、何とぞご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。
by Sonnenfleck | 2008-12-31 16:18 | パンケーキ(18)
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