ジンマン/N響 第1638回定期公演

c0060659_10483968.gif【2009年1月17日(土)15:00~ 第1638回定期公演/NHKホール】
●ウェーベルン:《パッサカリア》 op.1
●マーラー:交響曲第10番~アダージョ
●R. シュトラウス:交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》
⇒デイヴィッド・ジンマン/NHK交響楽団


噂どおり、3階席に余裕ができた気がする。というわけで久しぶりにNHKホールへ。最後に行ったのは…色光ピアノをマジでやったアシュケナージの《プロメテウス》だ!

結論から申し上げると、ジンマンやるじゃんジンマンという感じでした。ベートーヴェン全集を愛聴している以外に別段この指揮者を意識したことはなかったんですが、実演で聴くと素晴らしくクリアな響きを志向していることに気がつきます。その上で、N響がずいぶん言うことを聞いているなあ…という印象も付け加えねばなりません。
ウィークデイの疲れが出て、いつもよりさらに夢うつつであったことは差し引きつつ。。

ウェーベルンの《パッサカリア》で面白かったのは、多くの要素を並列的に処理していってしまおうというシステマティックな手法でした。浪漫的ドロドロに落とし込んで結果論として力業で持っていってしまえというのではなく、音楽を設計図どおりに組み立てていくストイックな楽しみが横溢している。出てくる音響は尖がり(こんなやり方をしたらオケの音がすっぴんで聴こえるんだから―そりゃそうだ)、甘い陶酔とは無縁でしたが、こうした方向が好きな自分にはご馳走でした。

次のマーラー、第10交響曲のアダージョが、これがよかった。
前述のとおり響きはあくまでもクリア(を志向している)。どこがどのように、と説明できるほどこの曲に馴染んでいないのですが、冒頭のVaにせよ、中間部の木管のざわめきにせよ、金管の絶叫コラールにせよ、あんなに柔弱に(すっかり脱脂して)流してしまうという解決策には度肝を抜かれた次第です。ジンマンのマーラーが話題になっている理由がなんとなくわかりました。
しかし、そのようなスタイルであるぶん、N響に対してはこちらも少しハードルを上げざるを得ません。今回ジンマンに対してはずいぶん協力的なように聴こえましたし、もともとのN響の音が比較的無理なく活きて、やっぱりある程度以上の実力を持ったオケなのだというのがわかるわけですが、それでもアンサンブルにもう一段の精度が望みたい場面があったなあと。「紺」マスもあの音色はないと思うけどなあ…信じられんなあ…。

《ツァラトゥストラはかく語りき》ではあまり意識が持たなかったので感想文を書く資格がないのだけど、こちらのほうは前半2曲に比べてもうちょっと恰幅が大きい。それでも、大風呂敷を広げるだけ広げて包むものなしではなく、音楽の運動性に焦点を絞った精緻な肌触りになっているのが面白いですね。《英雄の生涯》とか《ドン・ファン》だと推進力が強くて「豪華大風呂敷」でも流れに乗れてしまいますが、この曲はあまり推進しないような気がするので、ジンマンのやり方はよく合っているように思います。

それにしてもこの日はお客さんがちゃんと余韻を楽しむことを意識していて、マナーが改善されてるじゃないですか!3階席の改善以上に驚かされたポイント。
by Sonnenfleck | 2009-01-18 10:52 | 演奏会聴き語り
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