on the air:ジャン・フルネの思い出に@Netherlands Radio 4

1960年代のライヴ録音を、インターネットラジオからWAVE方式で録って、MP3に変換してiPodに格納し、それを電車で聴きながら携帯で感想をポチポチと打つ生活。このブログを始めた2005年には露ほども考えなかったリスニングスタイルです(そういえば当時はまだ自PCの中に音楽データは存在しなかった)。
少し前にNHKで読字障害のことを特集していて、テクノロジーの劇的な進化に人間の脳がついていけないのはむしろ当然、字の概念を操っているだけでもすげえぜ、というようなことが語られていました。最近よくこの視点から思う。

まあ、前置きが長くなったけど、フルネとオランダ放送の幸せな関係を示す番組が放送されたので聴いてみたということ。

【1961年9月23日】
●ワーヘナール:序曲《シラノ・ド・ベルジュラック》
●リスト:Pf協奏曲第1番変ホ長調 S.124
●ファリャ:交響的印象《スペインの庭の夜》
→エドゥアルド・デル・プエヨ(Pf)
●ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲

【1952年5月29日】
●ラヴェル:《クープランの墓》

【2004年5月28日】
●ショーソン:交響曲変ロ長調 op.20
●フォーレ:《シャイロック》組曲から
●ラヴェル:《ラ・ヴァルス》
⇒いずれも、ジャン・フルネ/オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団


最初のライヴは1961年のモノラル録音だけども、よく晴れた土曜の10時半ころに洗濯物を干しているような、つまりとてもフルネらしい、何とも言えない気持ちよさがすでに伝わってきます。《スペインの庭の夜》もとにかく響きが明るく、またすっきりとしていて、この曲でさえ朝の洗濯物の文脈に落とし込んで違和感がない。ただし《ダフニスとクロエ》第2組曲だけはミュンシュみたいに直線的な盛り上がりを提示していて楽しいです。若フルネ。

続いての《クープランの墓》が非常に素晴らしい!オケがこのころはまったく巧くないくせに恐ろしいほどアクが強くて(このあとに聴く2004年のライヴとは隔世の感アリ)、山菜と野草を煮込んでみましたが味は保証できかねます、という強気の押し出し。当時39歳のシェフ・フルネがきりりと絞り上げた野生のラヴェルであります。

最後は2004年、フルネとオランダ放送フィルとの最後期の共演ですね。
《ラ・ヴァルス》がなぜか途中からしか流れなくて悲しい。香気のある演奏だけに。
しかし初っ端のショーソンの交響曲が、、とんでもない名演奏のようなので帳消しです。ニュアンスの盛り付けと全体の質感を調和させ、上品の極致のごとき「明るい」音響を実現しています。これがフルネなのだ。それでいてショーソンの様式を巧みに汲み取っているので、あたかも純白のワーグナーを聴いているようですね。もし客席で聴いていたら昇天。。

来週の月曜深夜にも、今度は《幻想交響曲》ほかが放送されるみたいですよ。
by Sonnenfleck | 2009-02-06 06:32 | on the air
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