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ブリュッヘン/新日フィル 第65回多摩定期 《天地創造》

ブリュッヘン/新日フィル 第65回多摩定期 《天地創造》_c0060659_8564822.jpg【2009年2月8日(土) 15:00~ パルテノン多摩】
●ハイドン:オラトリオ《天地創造》 Hob.XXI-2
→マリン・ハルテリウス(S/ガブリエル、イブ)
  ジョン・マーク・エインズリー(T/ウリエル)
  デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン
  (Br/ラファエル、アダム)
→栗友会合唱団
→渡邊順生(通奏低音)
⇒フランス・ブリュッヘン/新日本フィルハーモニー交響楽団


土曜日の終演後にいてもたってもいられず、すみトリのロビーで翌日の多摩公演のチケットを買ってしまった。確かに一瞬、死神大暴れ日本初演も頭をよぎったのですが、ブリュッヘンが指揮するこの作品を生で聴くチャンスはもうないような気がして。
高いモノレールから眺める冬の多摩丘陵、あの風景はなんというか、未来で、自分の奥メンタルにはとことん馴染まない。緊張します。あれが当たり前の人が、いるんだよなあ。。

まあ。
結果的に土曜と比べることになりましたが、60%ほどの部分でさらに完成度が高まっていたように思います。「第1部」最初の混沌は土曜日の緊張感に軍配を上げたいけど、天体や星が誕生する場面の妙なる合奏は、最終多摩公演の開放的な雰囲気によって高められていたと思う。あの音の重なり合いは到底忘れがたい。
しかし特に、土曜日は響きの純度が少し落ちていた「第二部」以降で、細密描写と精密な地の部分とが奇跡的に併存に向かっていたのには驚きました。木管隊がさまざまな鳥の声を模倣する箇所なんか、声の模様だけが浮き彫りになってる中にガブリエルの歌が絡み、底無しに美しかったでありますよ。

多摩公演では前から4列目の1stVn真ん前の席くらいしか残ってなかったので、そこから指揮台を観察しました。ブリュッヘンは、指揮台に上がる前に窺われる足腰の衰えとは対照的に、長い指の先まで表出意欲がみなぎり、各パートへ飛ばす視線は鋭く、妙に安心させられたなあ。彼の音楽はますます空疎に静かに、実体をなくしていくけど、それもたぶん意志的にやっているらしいことが伝わってくる。
それと、渡邊氏の鍵盤とともに花崎氏の通奏低音Vcが間近で聴けたのも幸運でした。
昨年の10月に宗次ホールで素晴らしいメンデルスゾーンを聴かせてくれた花崎氏、今回は通奏低音Vcとしてレチタティーヴォを引き立てます。ネット上では彼の音程のことを腐す声を見かけたけど、それ以前にあの「ふよんっ」とした見事なメッサ・ディ・ヴォーチェがわからなかったのだとすれば、もったいないことです。鍵盤やソリストと身体全体で呼吸を合わせるタイミングも実に巧くて、しばし聴き惚れる。ブリュッヘンも満足げに視線をやっていました。
by Sonnenfleck | 2009-02-11 08:57 | 演奏会聴き語り | Comments(0)
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