IE9ピン留め
特別展 妙心寺@東京国立博物館
この展覧会、ポスターのデザインがシンプルながら素敵なのです。吼える虎と金箔のイメージが正面に捉えられて、そこを細い明朝体が縦に貫く構え。それを電車の中から見ていてムズムズとし、観に行ったのですが。。
音楽会に例えれば、「レスピーギ《ローマの松》ほかという宣伝のところ、ほかにあたるダッラピッコラのオケ伴歌曲集が全体のほとんどを占めていた、という感じ。しかも肝心の「ローマの松」虎の屏風は展示期間を終えて撤収済み。。

展覧会場の半分以上にわたって、坊さま方のありがたいと思われる(しかし判読不能の)墨跡がどわあああっと並びます。墨跡リテラシー皆無の自分にとってはしまったとしか言いようがない。きっとその道の達人は、内容の判読だけでなくフォントや表具の微妙な違いを味わいきって大満足の展覧会なのだと思いますが、自分はその境地にいまだ達せず。。それゆえ後半の、俗っぽい(って書いたら失礼か…)宝物の展示に心を動かされることになります。


鯰の曲線がエロティックな如拙の《瓢鮎図》や、狩野元信作と伝えられる《渓山間奇図》、さらにイエズス会の紋「IHS」が刻まれた銅鐘(これは萌え)などいろいろな属性をくすぐられる展示がありましたが、それらのすべてを措いても取り上げなくてはならないのは、上に画像を上げた狩野山雪の《老梅図襖》

どうでしょうこれ。展示室の曲がり角を曲がって、振り返ってこれがあったときの驚き。龍がのたくるような、明け方の森のクリーチャーのような、奇怪な梅図。
根元からすぐに左へ伸びる幹には獣の首のような力感があり、そこに生える繊毛のような葉、病による斑点のように可憐な花弁、直角に下降しては上降する末節の音程の鋭さ。。左下隅の池は乾いた血のような黒い水を無関心に湛え、トドメに黄金地の不毛な喜びが全体を覆っている。全景から細部に至るまですべてが気持ちが悪いのに、惹かれてしまう。

宣伝に使われているレスピーギを期待してはいけませんが、ダッラピッコラ、さらにアンコールに登場するノーノに打ちのめされたい方はぜひお時間を割くべきです。このあと京都→名古屋→福岡と巡回するみたい。

by Sonnenfleck | 2009-02-23 06:35 | 展覧会探検隊 | Trackback | Comments(4)
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Commented by Honey at 2009-02-23 07:56 x
確かに、ポスター素敵ですよね。
見に行く予定は無かったのですが、
ここでこんなに楽しく読ませて頂き、
すっかり満足しました~♪
 ありがとうございました。
Commented by Sonnenfleck at 2009-02-23 23:06
>Honeyさん
ポスターのデザインって実はかなり大事ですよね。。私みたいにポスターに絆されて鑑賞する気になるような人間もおりますし(笑) 昨年の春は「ウルビノのヴィーナス」旋風が山手線の各駅に吹き荒れていたような気がしますが、果たして今年は。。
Commented by iustitia at 2009-02-24 10:18 x
妙心寺展は、未来をひらく福澤諭吉展のついでに寄りました。
宗峰妙超(=大燈国師)の墨蹟が良かったですね。豊臣棄丸の玩具船も印象的でした。
Commented by Sonnenfleck at 2009-02-25 20:59
>iustitiaさん
墨跡に関しては正直思い出せないんですが(苦笑)ちょうど秀吉と棄丸に関わる作品を読んでいたところだったので、あの船や小さな具足はなかなか感慨深いものがありました。
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