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BZM

BZM_c0060659_6265780.jpg【Glossa/GCD921108】
●モーツァルト:Vn協奏曲全集
●同:協奏交響曲変ホ長調 K364 *
→トーマス・ツェートマイアー(Vn)
  ルース・キリウス(Va*)
⇒フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ

そんなこんなで、かなり特別な期待を込めて聴き始めたモーツァルトだったわけですが、一ヶ月ほどずっとずっと聴き込んでゆきましても…予想外に普通の演奏だったのです。
二枚組の半分、第1、4、5番が収められた方は、オケが18世紀なだけで御大は登場せず、ツェートマイアーの弾き振り。ベートーヴェンのようにガギガギとすらしなくて、売れないロッカーみたいに生気がないのでガックリきます(自分はツェートマイアーが苦手なのかもしれない)。大好きな第4番が安いプラスチックみたいに演奏されるのを聴いていてもあまりいい気分にはなりません。生気が抜けて美しいのと初めから生気がないのとではまるで違う。

二枚組のもう片方は変ホ長調の協奏交響曲と、第2、3番。こちらのディスクにはブリュッヘンがいますけど、そうなのだということはあまりよくわからない。特に協奏交響曲は彼らしくもなく非常に小綺麗にまとまっているので、オルフェウス室内管の録音を抑えてこの曲のファーストチョイスに躍り出たと言っても差し支えないでありましょう。
だがファンタジーは!ファンタジーがない!僕が今のブリュッヘンに期待してしまうのは、小さなまとまりや瞬間的な破壊力ではなくて、ゾッとさせるような幻想空間なのですもの!

そのようなファンタジーは、、第3番の第2楽章に埋まっていました。
ここだけが別格にファンタジーしています。例の蜻蛉の羽のような透き通りとともに、指揮者が笛を吹いていたころの、粘性の高いインキで一筆書きしたようなフォルムの「掠れ」が微妙に合同して、背すじをすぅっとやられるような響きになっております。このセットを購入された方は、このトラックへ向けて聴神経を集中させてゆくのが素敵なやり方だと思いますです。
by Sonnenfleck | 2009-03-05 06:29 | パンケーキ(18) | Comments(0)
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