3/21 アーレントオルガン・ランチタイムコンサート@カザルスホール

カザルスホールに行ってきた。
ホールが壊されるかも、というのは体験したことのない災厄なので、もちろん悲しいことは悲しいのだけど、いかんせんこのホールにほとんど通ったことがないのであまり実感が湧かないのがホントのところ。何より、ホールに関わられたマネジメントの方々の、さらにここのホールで名演奏に出会った方々の声が聞こえてきて、新参者のクラヲタは入ったら怒られるかな?という感じも微妙にあります。

せいぜい日大の施設になってからのことしか知らないし、僕はホールが買える大金持ちじゃないから、以下が無責任な発言なのは百も承知ですが、このホールは最近、フツーの音楽ファンに多くの魅力的なコンテンツを提供する場だったのかな?という気がします(最近の、です。凄かった昔のことは噂でしか知らない)。
ただのファンとしての自分は、トッパンホールとカザルスホールの催物カレンダーをこの先数か月分見比べても、「昔は凄かった…メセナ責任…日大…」とは思わなくて、ふうんじゃあトッパンのほうが面白そうだねトッパン行こうね、というだけなのです。ドライだろうか?でも「伝説の萩元晴彦さん」が実際何をされたのかよくわからない自分は、こういう方法しか取れない。「今」ハコの中で何を演っているの、というその点しか見られないということです。

【2009年3月21日(土) 12:15~ カザルスホール】
●スウェーリンク:リチェルカーレ
●シャイデマン:コラール・ファンタジー《イエス・キリスト、我らの救い主》
●ブクステフーデ:シャコンヌ ホ短調 BuxWV160
●ムファット:トッカータ第7番
●バッハ:コラール・パルティータ《喜び迎えん、恵み深きイエスよ》 BWV768
⇒早島万紀子(Org)


前置きが長くなって、さらに前置きの一部分と矛盾しているようだけれども、しかしこれは素敵な時間でした。こんな素敵なコンサートが開かれているホールがいずれ黄色と黒の破砕機に砕かれるのは見たくない。見たくないけどいずれそうなるのかしら無常オルガン。
なかなか機会がなく、このランチタイムコンサートに参加したことはなかったのだけど、開演間際に行ってみたらほぼ満席状態で吃驚。客層が「高い」のも特徴的だなあ。

あらゆるクラシック音楽の中で、オルガン曲だけはCDを買う気になれない。「空しい度」が高いからです。この日はその思いを新たにしました。
というのも、この日のオルガニスト・早島さんによるストップのブレンドがあんまりにも素晴らしかったから。あれは直接皮膚で感じなきゃ意味がない。特にシャイデマンのコラール・ファンタジー《イエス・キリスト、我らの救い主》での倍音の生成が錬金術的というか、元の古雅な旋律をメタリックグリーンショッキングパープルの螺旋のように倍音が取り囲んでいて、それはそれは見事でした。
さらにブクステフーデのホ短調のシャコンヌ。愴々としたバス主題の上に突然、人間の声のような色合いのメロディが流れるに及んで、電撃的なショックを受ける。楽器の音がこんなに人の声のように聴こえるのは、知るかぎり、フランソワのラヴェルに伴奏するパリ音楽院管のバソンくらいだったものですから。
華やかで細身のムファットはやっぱりリュリに似ていて、苔むしたブクステフーデから一気に色彩を開放して演奏されたトッカータ第7番も気持ちよかった。
by Sonnenfleck | 2009-03-22 10:22 | 演奏会聴き語り
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