リコーダーと通奏低音によるバロック音楽のひととき@聖パウロ女子修道会聖堂

c0060659_6283895.jpg【2009年3月21日(土) 14:00~ 聖パウロ女子修道会聖堂】
●オトテール:組曲 ホ短調
●マレ:ヴィオール組曲第3巻~組曲 ト長調
●A. D. フィリドール:ソナタ ニ短調
●オトテール:組曲ソナタ ニ長調
●デュフリ:クラヴサン曲集第3巻~〈フォルクレ〉、〈三美神〉
●P. D. フィリドール:組曲 イ短調
⇒花岡和生(Rec)、福沢宏(Gam)、外川陽子(Cem)


ちょっと時間が経ってしまいましたが。カザルスホールのランチタイムコンサートからハシゴでした。千代田線で一本だなと踏んでいたら案外遠くて焦りましたぜ。
会場の聖パウロ女子修道会は乃木神社の北東隣というか、こんもりとした丘の上にあって、いかにも都心の閑静な場所らしい風情があります。場所も場所、おまけにこってこてのフランスバロック・プログラムですから、まあ普通の方は来ないだろうし、集まっていた聴衆は50人くらいだったのかな。昼すぎの聖堂には青いステンドグラスの光が入ってくるし、外に遊ぶスズメの声も聴こえてきて、清冽な印象を受けました。

リコーダーの花岡氏のことはすでに何度か取り上げていますが、才人が多く層が厚い日本の古楽界にあって(日本古楽がBCJだけだと思ったら大間違いだ)ひときわ美しい音・美しい佇まいに特化した演奏を聴かせるふえの名手と思います。
この日は大本命オトテールと、対向2人のフィリドールに花岡氏の妙技を聴く。どっしりと構えた2曲のオトテールは横綱相撲でして、フランスバロックにつきものの過度の寂寥感や切ない歌いこみに心を奪われることなく、むしろ息をするだけのような淡々とした表現が心地よい時間を提供してくれます。花岡氏の音は、離陸と着陸が本当に安定している。

いっぽう2人のフィリドールさん(アンヌ=ダニカンとピエール=ダニカン)たちの作品は、優美繊細の中にどことなくアクロバティックなところが溶け込んでいて、なかなか面白いのです。初めてフィリドールを知ったのはこの日の同行者である友人(チェンバロとふえをやる)の家でCDを聴かせてもらったときなんだけど、ようやく生演奏に接する機会を得ました。
この日のアンサンブルは練達の市が集まっていましたので、そのためかもしれないのだけど、アクロバティックな表情は湛えつつも形態としては強固な安定感があって聴き易く、いい意味で予想を裏切られた思い。アンヌ=ダニカンのソナタ第2楽章(〈フーガ〉の表記だけどホントに?)の飄げた味わい、素晴らしかったなあ。

ただこの日は、花岡氏にも同行の友人にも申し訳ないのだけど、もっとも強い感銘を受けたのは福沢氏によるマレのヴィオール組曲でした。天使のマレがいかに軽々と天使であったか、これでようやくわかった。やっぱりいい演奏聴かないとダメだ。
by Sonnenfleck | 2009-04-03 06:30 | 演奏会聴き語り
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