ピョートル・アンデルシェフスキ リサイタル@サントリーホール

c0060659_624271.jpg【2009年6月6日(土)19:00~ サントリーホール】
●シューマン:《暁の歌》op.133
●バッハ:パルティータ第6番ホ短調 BWV830
●ヤナーチェク:《霧の中で》
●ベートーヴェン:Pfソナタ第31番変イ長調 op.110
 ○バルトーク:《チーク地方の3つのハンガリー民謡》~第1曲
 ○バッハ:パルティータ第2番ハ短調 BWV826~サラバンド
⇒ピョートル・アンデルシェフスキ(Pf)


以下、感想文に満たない覚え書き。

《暁の歌》は特に第1曲と第5曲において、真綿で首を締められているような、苦しみの繊細地獄でありました。あれがずっと続いたら椅子の上でのびてしまったでしょう。
逆に、異常な装飾文様の刻まれたそのアーチの下の中間3曲は奔放、もしくは感覚的すぎて(あるいはあのホールの音響特性上仕方ないのかもしれないが)ちょっと取りとめがないように聴こえてしまったのでした。

いっぽう、彼のバッハは、モダンのピアノで現代古楽と同じ方向を目指したところで、あまり素敵な効果は生まないらしいということをわからせてくれた(かつてグールドがバッハで、ホロヴィッツがスカルラッティで取ったようなスタイルは、当時のモダン演奏家の視点から見た「当時の古楽様式感」ではないだろうか?)。アンデルシェフスキがいかに現代古楽のアーティキュレーションを研究しているか、よくわかったのだけど、それと好き嫌いは別の次元でありまして、あの増幅された饒舌さは自分の範疇からは外れてしまいます。

当夜の一番の収穫は、ヤナーチェクの《霧の中で》だったかなと思う。
アンデルシェフスキはここでも巧妙な手練手管を用いて、ヤナーチェクが(もしかしたら)フリーズドライにして小節線の中に埋め込んでいたものを鮮やかに解凍し、聴衆にぶつけてきます。ヤナーチェクの味わい方に慣れていない僕のような人間にとっては、この鮮やかすぎる造形はむしろありがたいくらいで、新鮮な気持ちでこの曲集に接することができました。自分が聴いていたシフの奥ゆかしさとはあんまりにも違うやり口に面食らいつつも、ずいぶん素直に楽しめたなあという印象が残っています。

ベートーヴェンに関してはコメントなし。難しい。
by Sonnenfleck | 2009-06-25 06:24 | 演奏会聴き語り
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