出張でオホーツク海沿岸部に行くことになり、前日入りして「能取岬」に向かう。
能取岬(のとろみさき)は網走市の北約10キロにある突端部で、オホーツク海に突き出していることから流氷の季節には賑わうらしいが、晩秋にあっては人影もまばら。しかし僕の到着した15時にはすでに太陽が沈まんとしていて、辺り一面が金色に染まり、死んだように美しい光景が広がっていたのだった。
ボボボ...という漁船のエンジン音以外には何も聴こえない。風の音もない。
これで本当に無音だったならば何やら世をはかなんでしまう局面だけど、幸いにしてカーステレオから札響のライヴが聴こえてきたために助けられる。この10月にゲルハルト・ボッセが客演した定期演奏会がオンエアされていて、特に
《時計》の引き締まったフォルムにはすっかり驚かされたな(ベト7は残念だけどオケにとってオーバースペック気味だった)。
もちろん、次に何が飛び出してくるかわからないスリリングさも今や極めて重要だけれども、一方で古典派をフォルムのみで聴かすのはかなり難しいと見えて、こちらはライヴではなかなかお目にかかることはない。
北海道内だけの放送ということだけど、もったいないね。
間もなく雪に閉ざされるだろう。