ホグウッド/N響 第1653回定期公演Aプロ(9/20)

c0060659_2341454.gif【2009年9月20日(日) 15:00~ NHKホール】
<メンデルスゾーン>
●序曲《フィンガルの洞窟》 op.26(ローマ版)
●Vn協奏曲ホ短調 op.64(初稿)
 ○ラヴィ・シャンカール:ラプソディ(?)
→ダニエル・ホープ(Vn)
●交響曲第3番イ短調 op.56 《スコットランド》
⇒クリストファー・ホグウッド/NHK交響楽団


寝てしまうかもなあという危惧の下、晴天の渋谷へ。だいたい、晴天でしかも休日の渋谷なんかできれば行きたくないのだ。そのように思って原宿から歩いたけど、あっちはあっちで眩しすぎて辛い。NHKホールを新しくするときは所沢とか青梅に移転させてほしい。

そんな暗い妄想に取り憑かれていたけれど、いや、演奏は頗るよかったですよ。この機会を逃さなくて正解だった。
このAプロ、会場はやんやの喝采だったですが、ネットで検索してみるとけっこう批判的なレヴューが目に付くんですよ。いやあこれは本当にいいことだと思う。FMで中継されTV収録されることによって日本中に名を轟かせているオーケストラが、ホグウッドの指導下で至極真っ当なピリオド・アプローチをやってのけて、それが知られ感じ取られることの重大さ!いくらミンコフスキ+ルーヴル隊がオペラシティで最先端のモーツァルトをやっても、それは認知される度合いとしては絶対にN響には敵わないんだもの。。
今回のホグウッドを耳にされて、「やっぱりなんにもないメンデルスゾーンが好きだなあ」と思われた方は、ぜひこの機会にドホナーニなりセルなりのディスクをガッツリと聴き返して、自分が「なんにもないメンデルスゾーン」のどういうところが好きなのか考えてみてもいいかもしれませんよね(僕は彼らの録音も大好きです)。

僕が見事だなと思ったのは、Vn協奏曲の第2楽章と《スコットランド》の第3楽章。

どちらも仄かな香水のように浪漫が漂う幸福な緩徐楽章ですが、決して刈り込まれてはいない大きな編成の弦楽を従えつつ、木管のアンサンブルを理想的なバランスで聴かせるホグウッドの感覚にまず驚いた。この人の録音してきたバッハやヴィヴァルディは、このメンデルスゾーン(や、来たるべきシューマンとか)のための下書きでしかなかったのではないか?あの弦楽合奏の青白さは、管楽器を迎え入れるための下地だったのではないか?

これら薄絹のような緩徐楽章のあればこそ、大袈裟なメンコンの第3楽章、速すぎるとの不評を買っているスコッチの第4楽章が活きているのは明らかでありましょう。バロックでは絶対に破綻を避けていたホグウッドが(少なくとも僕は例を知らない)、恐らく強い確信を持ってロマン派の様式でメンデルスゾーンを造形している姿はまったく頼もしく、「学究肌」というのはこういう人のことを評する誉め言葉なのだと思われました。

協奏曲のソリスト、ダニエル・ホープは、僕たちの生きているのがハイフェッツやオイストラフの時代ではないことを朗らかに教えてくれます。甚だしい抑揚の山谷もわざとらしい加減速も、伴奏と「合っていない」ことさえも、それも彼のスタイルの一部ではないかしら。
by Sonnenfleck | 2009-11-20 23:44 | 演奏会聴き語り
<< クララ・シューマン 愛の協奏曲... ナイチンゲールに脅かされる二人... >>