東京二期会―プッチーニ《蝶々夫人》(10/10)

c0060659_2021195.jpg【2009年10月10日(土) 14:00~ 東京文化会館】
●プッチーニ:《蝶々夫人》
→文屋小百合(S/蝶々夫人)
  小林由佳(MS/スズキ)
  小原啓楼(T/ピンカートン)
  久保和範(Br/シャープレス) 他
→二期会合唱団
→栗山昌良(演出)
⇒ジャック・デラコート/読売日本交響楽団



【【以下、生まれて初めて蝶々夫人を観た人間の感想文】】

1. 背景
間が何段も抜けた梯子を登るのはよくないと思ったため。

2. 興味深いところ
(1)台本と演出
ヤンデレ蝶々さんに、意志なきスズキ人形、軽薄が勲章をぶら下げたようなピンカートン、成り行き任せの偽善者シャープレス。
異様に丁寧な和空間が「コメディーお江戸でござる」を想起さすこの栗山昌良の演出は(きっと)ト書きに忠実なのだろうと思ったけど、2009年の日本国の都でこんなオペラがフツーに上演されていいのかしらんと思うわけですよ。

この作品って読み替えはされるんだろうか。
されるんだろうな。されないと目も当てられないもの。
たとえば、自分を蝶々さんだと思い込んでいる狂女に、専任看護婦スズキ、院長シャープレス、「誠実な」若い研修医ピンカートンで、当然子ども役はクマのぬいぐるみとかにして、病院ぐるみで狂女に台本どおりの治療を施していると。狂女が「自害」シーンに納得すると、台本は冒頭の結婚式シーンに戻る。エンドレスバタフライ。
クプファーのオランダ人の二番煎じみたいだけどこんな演出がいいなあと思って、客席で妄想するくらいが当日の楽しみでありました。
底抜け美メロは気の滅入る演出と相俟ってこそでは。

(2)音楽と管弦楽
美メロ。プッチーニをほぼまったく聴いていないと、「デラックスガトーショコラ・ホイップクリーム添え」みたいな先入観を持ってしまうのだけど、案外和音が大胆だったりするのは新鮮な発見でした。結構キツめの不協和音も入るんだねえ。
でもいかんせん舞台セットが「お江戸でござる」風なので、何とも言えない居心地の悪さを感じる。。
面白かったのは、デラコートという指揮者が、もしかしたらスコア以上に和音の表出をキツめに設定していたんではないかという点。いや、もともとスコアがそのように書かれているのかもしれないけどさ、、ほんのところどころではあったけど《神々の黄昏》みたいに鳴る局面があって、ハッとさせられた。僕でも知ってる有名な〈ある晴れた日に〉が信じられないくらいあっさり終了したのも、この指揮者への興味をそそられたポイント。

(3)その他
・あらすじを読んで、ボンゾのことを「凡蔵」だと思っていたら、意外にも「坊主」であった。
・畳に土足はやめてくれ。
・猿田彦の神。
by Sonnenfleck | 2009-12-19 20:28 | 演奏会聴き語り
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