「青い文学」第5&6話―坂口安吾『桜の森の満開の下』

メリクリ!(←テンション5割増し)
善男善女の多いクラブログ界隈ではまだ誰もやっとらんだろうと思ってのんびりしてたら、ヽ['A`]ノキモメンさんに先を越されてしまってぐぬぬぬ。

ガーター亭さんに倣ってオネゲルを聴こうかとも思ったけれど、連日の残業では元気も出ず。この時期は仕方がないのだ。そうしてまた今年も、一年に一度しか聴かないレオンタイン・プライス+カラヤンのクリスマスアルバムを聴いている。

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さて。こういうトンデモ作品が何の前触れもなくポッと出たりするから、まだまだテレビも捨てたもんじゃないよね。
土曜日深夜に日本テレビで放送中の「青い文学」は、堺雅人が冒頭数分のナビゲータ兼主演声優として登場し、『人間失格』→『桜の森の満開の下』→『こころ』→『走れメロス』→『蜘蛛の糸』→『地獄変』の順番に有名作品がアニメ化されていくシリーズ。なのだが、『桜の森の...』の知名度はこのラインナップの中では明らかに他より劣っているような気がするし、どうしてこの作品が選ばれているのか、不思議ではあった。

最初の『人間失格』は、堺雅人が演ずる葉蔵クンがゾッとするくらいはまり役だったくらいで、まあこんなもんかな…という感じでしたが、この『桜の森の満開の下』は違っている。
妙なるエロと血の臭いのするグロが静かに渦巻いたこの作品に、まさかのスラップスティックコメディと、わざと安っぽく崩したためにかえって記号的になった萌え要素を混ぜて、しかもそれをミュージカル仕立てにしようなんて、誰が考えるだろう。普通は誰も考えない。異常な演出だ。作り手がシリーズ中のどこかでこうした異常な演出を施したいがために、この作品が選ばれたような気がしてならない。従ってもともと異様なストーリーがさらに奇怪な姿になってしまった。

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キャプチャ画面からはコメディや萌えの部分をあえて外しましたが、シリアスなエログロシーンもなかなか美しい。

時節柄もしかすると微妙かもしれないネタはカッチリと原作準拠で、切り取られた首同士を接吻させて女が遊ぶ様子や、絞め殺された女の表情をリアルに描写してしまう。深夜帯とはいえよくこんな描写が許されて電波に乗っているなあと感心するのと同時に、コメディや萌えを混ぜてもギリギリのところで「文学」に踏み止まるバランス感覚にも驚いた。(ただし、盗人の姿が桜の花びらと化すラストシーン、ここを原作の文章のカットを多用して閉めるのは少しずるい。)

このお話、たとえばCG混ざりの実写でやったって面白くもなんともないでしょう?こういう野心的なアニメーション作品を見ると、表現手段としてのアニメはイメージ面でつくづく損をしているなあと思う。
いよいよ今週末、『蜘蛛の糸』と『地獄変』の二本立て!
by Sonnenfleck | 2009-12-24 23:06 | on the air
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