ラザレフ/日フィル 第618回東京定期演奏会(3/13)

c0060659_17432112.jpg【2010年3月13日(土)14:00~ サントリーホール】
<プロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクト vol.4>
●モーツァルト:ミサ曲ハ短調 K427
→天羽明惠、加納悦子(S)
  鈴木准(T)、成田眞(Bs)
→東京音楽大学
●プロコフィエフ:交響曲第4番ハ長調 op.112(改訂版)
 ○同:《ロメオとジュリエット》第2組曲~〈ダンス〉
⇒アレクサンドル・ラザレフ/
  日本フィルハーモニー交響楽団


毎回べた褒めで申し訳なく。しかし今回もプロコに関してはべた褒め。

第4番はプロコフィエフの交響曲の中でも最も謎な存在だったのですが、この演奏で初めてじっくりと聴いてみて、もしかしたら第6番と同じくらい懐の深い大傑作なんじゃないかと思われた。
この作品は抒情と凶暴の分裂状態が他の作品に比べても本当に酷くて、悲惨なくらい苦しい音楽なんだよね。これを聴いて、ジダーノフ批判一歩手前のプロコフィエフを想像し、伝記的涙を流すことも許されるほどに。

第1楽章の主部には白々しくも「アレグロ・エロイコ」などという表情が付されているのだけども、バネやネジを飛ばしながらきりきり舞いするようなヤケクソの主題からして、いかにもショスタコの第9と同様の苦吟ぶりを感じさせる。
ラザレフはその第1主題を煽りまくって物凄い焦燥感を焙り出すことに成功し、第2主題の静謐な透明感(日フィルは本当にいい響きだった!)との悲惨な対比を描いていましたな。(帰宅してからロジェヴェンとゲルギエフの録音を取り出してみたら、どちらも第5番みたいな鷹揚スタイルによってこの楽章を仕上げてるんだよねえ。うーむそれって何か違うくない?)

第2楽章は泣いてしまった。この美しさがソンツォフカのリリカルマシン!
ラザレフお得意の「ここだよ!ここ聴けよ!」が飛び出した、冒頭のFlによる主題提示。これが徐々に拡大し飛散していく行程に、影のように邪魔をする凶暴。自分で自分を妨害せずにはいられないプロコフィエフのセルフツンデレぶりがよく現れた楽章なんだな。
ラザレフが、こうした特殊なアンダンテを随分巧みに形にしてしまう人だというのは前回からもわかっていたけども、、低弦の圧倒的充実ぶりとか、感情を表出させないにも関わらず色彩的な木管隊だとか、肝の据わったTp客演首席とか、オケの濃密なアンサンブルを含めてとても素晴らしかった。。

しかしそれはそれとして、第4楽章の終結部で、抒情も凶暴も吹っ飛ばすような宇宙的大音量でスカッとさせてくれるのもラザレフらしいところ。
あ、この上にまだ昇るんすか、みたいな(笑)

その余勢を駆ったアンコールも凄まじいスピードで、エンタメ路線まっしぐら!最後の拍でくるりと客席に向き直り、これもお得意の投げキッスで〆。

+ + +

モーツァルトは、一緒に取り上げた意図が最後まで掴めず。途中で完全に寝てしまったし、あれこれと感想を語る資格もなし。
やはりミッドセンチュリー的バターテイストのモーツァルトではあったが、前回のK595に比べるとちょっと精度が下がったような気もする。それでもグローリアの中盤、Qui tollis peccata mundi, miserere nobis... の部分では、伝統的バッハ造形が援用されて、もう過去の録音でしか聴けないような重厚な音響が立ち昇っていたために、ちょっと感激であった。
by Sonnenfleck | 2010-03-14 17:44 | 演奏会聴き語り
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