アリス・イン・ワンダーランド(5/22)

c0060659_22553527.jpg【2010年5月22日(土) 15:45~ 品川プリンスシネマ】

よく、ドラクエは「大人が子どもの心に戻るための作品」、FFは「子どもが大人に背伸びするための作品」みたいな表現を目にする。
ことの正否は判断しかねるけども、個人的にはなるほどうまいことを言うなあと思っていて、今でもドラクエに抑制の美学を感じたりするわけです。

「アリス・イン・ワンダーランド」は、その分類に則れば、ドラクエ型の作品だったと思う。

ストーリーは淡白の極み。『不思議の国』と『鏡の国』を控えめに混ぜ合わせてほとんど足しも引きもしないところに、幼女アリスから少女アリスへの成長をスパイスに効かせ、続編なんかまったく期待させないツンとした幕切れ。結末で敗者側がまったく救済されないのもさっぱりしている。
しかも、くどくどと教訓じみたことを言うのが台本作家ではなくて、その役割に忠実な青い芋虫だけ、というのがドラマトゥルギーの見本みたいでよほど心憎い。

僕は映画をほとんど見ないので、見当違いなことを言っていたら申し訳ないのですが(恥ずかしながらティム・バートンの映画もこれが初見)、キャラクタ造形は至極真っ当と思った。
ジョニー・デップ演ずるいかれ帽子屋(自分は慣れ親しんだこの邦訳から逃れられない)が若くて等身が高く、セクシーすぎるかもしれないが、そのためにピエロの悲哀のようなものを感じさせる。その一方で、ヘレナ・ボナム=カーターの赤の女王は、奇怪な頭部発達メイクを食ってしまうくらいの狂った表情を見せ、対するアン・ハサウェイの白の女王も、時折見せる呆けたような表情に無色の狂気が滲んでいて素晴らしい。
そしてアリスを演ずるミア・ワシコウスカ。あの冷ややかさ!装飾的軽さ!

最後に、同行者と話し合ったいつもの箇条書き。

■案外、バトル映画だった。
■2D上映を選んで正解だった。
■品川よいとこ。
■眼球に関するフェティシズムみたいなもの。
■バンダースナッチは、しかし、FFに登場するモンスターという倒錯。
■あたり一面の毒々しい色遣いを見ていて、ティム・バートン映画化の《魔笛》を想像する訓練。パパゲーノにジョニー・デップ。3人の侍女はCG。
by Sonnenfleck | 2010-06-02 22:58 | 演奏会聴き語り
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