これについて書いたことあったかなあ。もうわかんないなあ。
【LONDON(DECCA)/KICC-8415】
<オンブラ・マイ・フ/セル・コンダクツ・ヘンデル>
●ハーティ、セル編:組曲《水上の音楽》
●ビーチャム編:《忠実な羊飼い》~メヌエット
●ハーティ編:組曲《王宮の花火の音楽》
●ラインハルト編:《クセルクセス》~ラルゴ
⇒ジョージ・セル/ロンドン交響楽団
ムラムラと聴きたくなって、久しぶりに取り出してみたら、やっぱり佳い。素敵だ。
ここに録音された《花火...》の
序曲は、通常の3倍くらいの巨体として造形されているにも関わらず、どのディテールを取り上げてもつるりと円やかな曲線美という、究極のオーケストラ演奏の一つだと思います。
ニケやサヴァールの演奏を知ってしまった今日、世界のどこを探してもこのようなライヴとは出会えないのでありましょう。完全に絶滅した演奏様式がこのようにくっきりとした録音で遺されているという事実も、バロック音楽の人造性に似つかわしくてゾクゾクしますな。
轟々と鳴り響く
メヌエットは、舞曲という使命から解放された幸福でいっぱいであり、ロンドン響からはところどころ、ベートーヴェンのような英雄心すら感じる。最後の物凄いフェルマータ!
アルバムの組み方としてもいいなと思っていて、《花火...》で終わるともしかしたら下品になるところを、余韻を多く含む「ヘンデルのラルゴ」で閉じる余裕がいいよね。2010年には絶滅しているかもしれない天然物の余裕。
1961年の8月は特別だったか。49年後の8月に思う。