さようならバルシャイ

Умер альтист и дирижёр Рудольф Баршай(Газета.Ru/11月3日)
ルドルフ・バルシャイ氏死去 ロシア出身の指揮者(共同通信/11月5日)

バルシャイの指揮に接したのはたった一度きり、2004年12月のN響定期で、キャンセルしたデュトワのピンチヒッターとしてなぜか彼が登場し、《ハフナー》→《ダンバートン・オークス》→ベートーヴェンのVn協奏曲という不思議なプログラムを聴かせてくれたときのことであった。
印象に残らない曲づくりだったのが印象に残っていて、これがショスタコーヴィチから愛された、あの鬼のモスクワ室内の人なのかなあと思って。それでも終演後に楽屋口のサインの列に並ぶと、真っ白にふやけたような顔でぼんやりと座っているバルシャイが見えて、これが演奏の記憶以上に鮮明に焼きついている。

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いま、ショスタコーヴィチの第14交響曲のモスクワ初演ライヴ録音を聴いて、あのときのバルシャイと、ここでのバルシャイの差をどうやって埋めたらいいのか、悩む。
1969年のこのライヴは、いかにもソヴィエト演奏らしい、前につんのめる焦燥感と凄惨な響きに彩られた、言いようのない雰囲気に満ちています(《ローレライ》から《自殺》にかけて、どうやったらこんな恐怖を作り出せるのか…)。ショスタコーヴィチの同時代人がまたひとり、鬼籍に入ってしまった。過去が生成されてゆく。

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RIP.

by Sonnenfleck | 2010-11-07 15:28 | 日記
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