ギターを秘かに愛好している。iPodにはペペ・ロメロのヴィラ=ロボス作品集が、鈴木大介さんの武満「12のうた」が、タネンバウムのヘンツェ《王宮の冬の音楽》が入っている。
これも、入れようか。 【EMI/724355657824】 <ラテンの歌と踊り> ●ペルー舞曲/ブローウェル:高原の踊り ●バリオス:クエカ(チリ舞曲) ●同:パラグアイ舞曲 ●同:神の愛のほどこし ●ポンセ:エストレリータ(小さな星) ●同:メキシコのスケルツィーノ ●バリオス:《大聖堂》~前奏曲 ●同:《大聖堂》~宗教的アンダンテ ●同:《大聖堂》~荘重なアレグロ ●ヴィラ=ロボス:《ブラジル風バッハ》第5番*~アリア ●ニャタリ:ブラジル舞曲 ●グレネ/ブローウェル:キューバの子守歌 ●ラウロ:ヴェネズエラ風ワルツ ●ピアソラ/ブローウェル:天使の死 ●ピアソラ:《タンゴの歴史》#~1900年代の娼窟 ●同:《タンゴの歴史》~1930年代のカフェ ●同:《タンゴの歴史》~1960年代のナイトクラブ ●同:《タンゴの歴史》~現代のコンサート →バーバラ・ヘンドリックス(S*) →エマニュエル・パユ(Fl#) ⇒マヌエル・バルエコ(Gt) 奏者の名前も知らずに、曲のセレクションと構成が素敵だなあと思って買い求めたCDなんだけれども、濃いコーヒーを淹れてだまって聴いていると、たいへんな名手のように思われる。この人の音のつぶつぶは冬の空気のように明晰で、すっきりとした薫りを残し、潔く消える。 どれも甘いメロディや陽気なリズムに彩られた作品たちなので、気立てのいい、でもだらしないフィールドを展開することも可能なはずなのに(僕の知っているジョン・ウィリアムズはそんな感じだ)、バルエコはアーティキュレーションにピリオドのような雰囲気があるんだよね。 という調子で民謡・舞曲を演奏するものだから、これはまるでリュートのようである。サヴァールやピエルロのアンサンブルにいても全然おかしくない。 「クラシック」では、バリオスの《大聖堂》をついにこのディスクで初めて聴く。ほかのギタリストが弾いてどうなるか興味はあるが、バルエコの手にかかって気の利いたクラヴサン組曲みたいに聴こえるのは、新鮮な心持ちがする。何よりも、さっくりとした粒立ちのよさ。 最後に、ゲストを迎えている《ブラジル風バッハ》と《タンゴの歴史》で、アーティキュレーションを極めて控えめに、ソロに比べてよりマットな仕上げにしているのが面白い。キャンバスがしっかりしないと図が発色しないのは自明の理だよな。
by Sonnenfleck
| 2010-11-20 12:36
| パンケーキ(20)
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Comments(2)
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雪如雨露
at 2010-11-24 23:25
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ああ、これは大好きな音盤。大聖堂を一聴して何とも言えない郷愁を感じてしまい、それ以来、特に他の演奏を求めることもなく、バルエコのこの録音ばかりを繰り返し聞いている始末。夜とも昼ともつかない時間を漂っている気分になれる録音って、多いようで意外と少ないけれど、これはその一つです。
自分は古楽偏重なので、たとえばソルの曲も好きですし(Brilliantの二重奏全集は素晴らしかった)他にボッケリーニの五重奏曲などもよく聞きます。が、一番しっくりくるのは、このバルエコなんですよね。ピアノだと、マルセル・メイエが似た存在だったり。古楽原理主義者な友人には、裏切り者のように見られたりしますが(苦笑)
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Sonnenfleck at 2010-11-25 23:34
>雪如雨露さん
ちゃんと先回りされてしまいました(笑)いい演奏ですよね。古楽の同好の士に同意いただくと心強いです。 今もまた、就寝前のひとときに聴いていますが、昼間とは違ったエッセンスが空気に乗っています。ナイトタイムの撥弦楽器はヴィゼーのテオルボ曲集がマストでしたが、これもヘビロテに入りそうです。 ボッケリーニはひそかに苦手なのですが、挑戦してみようかなあ。。バルエコが弾いてたりしませんかね。
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