ブリュッヘン/新日フィル Beethoven Project 第3回(2/16)

c0060659_1039673.jpg【2011年2月16日(木) 19:15~ すみだトリフォニーホール】
<Beethoven Project>
●交響曲第6番ヘ長調 op.68
●交響曲第7番イ長調 op.92
⇒フランス・ブリュッヘン/
  新日本フィルハーモニー交響楽団




◆田園は遠きにありて思ふもの。
あとほんの少し、しかし確実に、何かが足りなかった。やはりあの第2楽章、そしてひどく平明な第5楽章を中心として、伝説の演奏になる芽はいくつもあったように思えたけど、結局実現しなかったのだった。

緻密なノンヴィブによる旋律感の脱落は今回も確かにあって、メロディが消えてハーモニーとリズムでできた模様だけになってしまい、ミニマルミュージックの観念的美しさまであと数ミリにまで迫った第2楽章。最後のカッコウは、ベートーヴェンがイデアの世界を描写しようと試みたのであろうということがよくわかった。

あちこちが言葉にならないくらい素晴らしかったのは事実なのだけれども、最弱音でほとんど消えかかろうとするときにオケがヨタついたのはかなり無念だったし、全曲を通して微妙にオケがざわついていて、各パート間、さらに各パート内でのアーティキュレーションがきれいに整わなかったのはなぜだったか。。さらに、響きが薄く透き通った瞬間にあちこちから鼾が聞こえて鬱。最終楽章では非常に薄汚いフラブラも飛び出して、ますます鬱。
(※もしかしたら、日曜日のしらかわホール公演が凄まじいものになるかもしれない。あの小さくて親密な空間では、マチエールの凹凸をなめすことがほぼ最優先事項として求められるだろうから。名古屋の皆さんのご感想を聴きたいです。)

◆解体されたのは指揮者か。第7番
ああ。みんなベト7を聴きに来てたんだな。セット券でずうっと僕の隣に座ってる不機嫌なご老人も、ついにこの日、初めて拍手をした。会場の様子から判断するにレビューは絶賛の嵐だろうから(まだほとんど他の方の感想を見ていないのでわからない)、あらかじめお断りしときますが、僕はわりと失望したクチです。

僕は今回の演奏、面白いと思わなかった。
こういう普通のベト7なら、別にブリュッヘンじゃなくてもよくね?ってことです。

「泰西古典浪漫主義名曲ベト7」として、かなり細部までしっかりと造りこまれていたのは衆目の一致するところと思った。素晴らしい「普通の」造形だったらそりゃ間違いなく客席は沸くよね。だって普通のベト7、みんな好きだもん。でも、あれ、ブリュッヘンだからじゃなくて、ベト7だから盛り上がったんじゃなかった?

静けさを追求することにこだわった第2楽章も予想の範囲を外れないというか、なんか手の内が見えてて、エロイカの第2楽章とか、第1交響曲の焼き直しくらいにしか思われない。リズムの整い方は、逆説的に西江コンマス担当回だったおかげで、この日が一番よかったのかもしれないが(そしてそれはベト7を普通に造形するにあたり、とても大切な要素なのかもしれないが)、僕はこのツィクルスに、新しい知見のない演奏を聴きに来たつもりはなかった。これが本音。あるいは、新しい知見に至らなかった僕が悪い。

[関連リンク]
on the air:ブリュッヘン/スタヴァンゲル響のベートーヴェン 3(2008年。)

[関連リンクその2]
[演奏会] ブリュッヘンの楽器となった新日本フィル(「現代古楽の基礎知識」)
大先輩・澤谷さんのエントリをまたも無断でご紹介。「ジーグ、マーチ、スケルツォ、コントルダンス」かあ。そっかあ。そうだったかもしれないなあ。うーん。

+ + +

2月17日、「庭は夏の日ざかり」は開設6周年を迎えました。
これもひとえに、ご訪問いただける皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます。
by Sonnenfleck | 2011-02-19 10:41 | 演奏会聴き語り
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