スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ/読響:クレバー

【2005年5月1日(日)14:00〜 みなとみらいホリデー名曲コンサート/横浜みなとみらいホール】
●ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 op. 68 《田園》
●ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 op. 47


正直、行くのはよそうかと悩みました。一昨日・昨日とベートーヴェン漬けで、もう頭の中は飽和状態。しかも今夜も有楽町行きが決定している…。でもスクロヴァ爺さまは80過ぎ、この一瞬の迷いで一生後悔したくはない、ということでみなとみらいに直行。結果は大正解でした。

前半の《田園》は第2楽章が白眉。相変わらず細かな指示を出して、到底「田舎へ着いた朗らか気分」ではない。16分音符のモチーフを常に意識させて、神経質な震えを演出します。十八番の内声部強調も冴え渡り、アンチ素朴派の棒をたっぷり堪能。この人はどんだけ頭がいいんだと。

後半。ショスタコには一家言持ってるつもりですが、、とてつもない演奏でした。完全に脱帽。このレベルの5番が日本のオケの、しかも定期で聴けるとは予想だにしなかった。
第1楽章冒頭の付点モチーフ(私見ですが、これはたぶんフランス風序曲への皮肉です)を速めにきりりと決めるも、行進曲に入るやいなや戯画的にテンポダウン。さらに、たいていの演奏ではバランスが混乱してダンゴになってしまう行進曲の終結部でも、音がまったく濁りません。こういう箇所は本当に巧い。
ほぼアタッカで第2楽章。テンポはやはりシニカルに遅い。この楽章では、ぅわんっっ、という跳ねるモチーフが大切ですが、ここでも、まるで空中で燕がU字で切り返すかのようなリズムの跳ねを聴かせます。しかもKb8プルト・Vc10プルトの大編成でそれをやっちゃうんですから堪らない。
第3楽章。抑えに抑えた冷たい弦の音色に思わず総毛立ちます。聴衆は咳ひとつしない。やはりいかにもスクロヴァのアダージョらしく、楽器のブレンドに細心の注意が払われていますが、巷間言われているような神経質さは感じない。またしても彼の秘術にはまってしまいましたよー。。
緊張を保持したまま、アタッカで第4楽章。恐ろしく遅いテンポで辺りを蹂躙したかと思えば、シニカルなリタルダンドを掛けてニヤリとさせたり、楽しい仕掛けが満載。ちょっとおこがましい言い方ですが、この曲をよく知っていればいるほど面白いのです。最後、普通の指揮者は素直にコーダに重心を置きますが、スクロヴァはコーダの直前に大きなクレッシェンドを掛け、異常に肥大した山を作る。聴き手はここでもまた度肝を抜かれます。なんていう人だ。。盛大な拍手と一般参賀(もはやお約束)。12月のブルックナー6番とベートーヴェン9番が楽しみっす。
by Sonnenfleck | 2005-05-02 00:08 | 演奏会聴き語り
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