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on the air:大河ドラマ「平清盛」第1回・第2回

on the air:大河ドラマ「平清盛」第1回・第2回_c0060659_1131279.jpg近年の大河ドラマのなかではかなり楽しみにしていた部類で、現に、期待は裏切られていない。躍動感があるうえに政治劇らしい禍々しさにも欠けず、何より真摯だ。昨年同じ時間に同じチャンネルで放送されていた、歴史お笑いファンタジー「江」などとはずいぶん違っている。

そして音楽が良いのも当然、満足感に結びついているわけです。
吉松隆の無国籍的抒情が、どこの国とも知れない900年前の日本の遠さをよく下支えしているように思うんだよね。OPで(たぶん舘野泉が)弾いている「今様」のメロディは、劇中では吹石一恵と松田聖子が口ずさんでいることもあってすでにしっかり耳に残っているし、怜楽舎の演奏する吉松邦楽に乗って松山ケンイチが舞うシーンからも、独特の感覚を想起させられた。
(※久しぶりに吉松のFg協奏曲《一角獣回路》を引っ張り出して聴いてる。)

ところで、どこかの県知事が「画面が汚い」と公に発言したことにはかなり驚いた。こういう愚昧な感覚の大人もいるんだなあ。あたしは演出を演出と理解できません!って市民に向かって大告白してるわけですから。幼稚な審美眼のまま年老いてしまうってどういう気持ちなんだろうね。気づかないから幸福なのかな。

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さてもこのあたりの時代について、自分は何も知らないのである。悔しいので年末から「平家物語」を読んでいる。

といっても残念ながら原文を読んでいく能力はないので、中山義秀訳(河出文庫)上中下を入手してるんだけど、中山の訳文体が平明で温かく、たいへん読みやすい。すいすいと進んでゆける。このひとは1938年の芥川賞作家ということだ。

「平家物語」は平清盛が入道相国と呼ばれるようになってから、すなわち彼の晩年の、後白河院や平家以外の貴族に対する悪逆非道ぶりを告発し、平家が滅亡に向かう様子が内容の中心だけど、大河ドラマ「平清盛」はそこに至るまでの長い道のりを描いていくようなので、順序は逆さま。
でも「平家物語」ですでに死んで(≒清盛に殺されて)怨霊になって登場するような人びとが、大河ドラマでは生きて登場するので楽しかったりもする。このへんはちゃんと補完してますね。中山義秀訳、おすすめです。
by Sonnenfleck | 2012-01-22 01:17 | on the air | Comments(0)
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