【DGG/POCG4085】
<ヴォルフ>
●ミニョンI 《語らずともよい》
●ミニョンII 《ただあこがれを知るひとだけが》
●ミニョンIII 《もうしばらくこのままの姿に》
●ミニョン 《ごぞんじですか、レモンの花咲く国》
●《四季すべて春》
●《問うなかれ》
●《お澄まし娘》
●《羊飼い》
●《ヴァイラの歌》
<マーラー>
●《無駄な骨折り》
●《ラインの伝説》
●《去って!去って!》
●《高い知性への賛美》
●《春の朝》
●《ファンタジー》
●《わたしは緑深い森を楽しく歩んだ》
●《想い出》
●《セレナーデ》
●《トランペットが美しく鳴るところ》
⇒アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(MS)+ラルフ・ゴトーニ(Pf)
今や熟女の魅力でわれわれを煙に巻くフォン・オッターおばさんだが、このディスクは、まずジャケ写真の80年代的雰囲気に驚かされる。オッターの厖大な録音歴のごくごく初期のものであるらしい。そしてなぜか、彼女自信の公式サイトのディスコグラフィからは消去されている。
ヴォルフの音楽はほんとうに変だ。変すぎて今でもあまり聴かれていないのは納得のいくところで、至極まっとうな現状だ
(わかりやすい藝術などクソ喰らえ)。ヴォルフと並べて聴くと、マーラーが根っこに持っているポピュリズムが芬々と臭ってきて実に厭な気持ちになるのが、このディスクの善いところ。
ところで、むすめさんが唄うヴォルフは佳い。
フォン・オッターおばさんになってからアーティキュレーション錬金術の生け贄になって消えてしまった、素肌の奥にわだかまっている闇のような暗い地声が、ヴォルフの奇怪を引き立ててやまない。