アンヌ・ケフェレック Pfリサイタル@東京文化会館(12/8)

c0060659_823649.jpg【2012年12月8日(土) 19:00~ 東京文化会館大ホール】
●ヘンデル:パッサカリア ト短調 HWV432
●バッハ/ブゾーニ:コラール前奏曲《いざ来たれ、異教徒の救い主よ》BWV659a
●A. マルチェッロ/バッハ:Ob協奏曲ニ短調~アダージョ
●ヘンデル/ケンプ:メヌエット ト短調 HWV434
●バッハ/ヘス:カンタータ《心と口と行いと命もて》BWV147~〈主よ、ひとの望みの喜びよ〉
●ヘンデル:シャコンヌ ト長調 HWV435
●ベートーヴェン:Pfソナタ第14番嬰ハ短調 op.27-2《月光》
●ラヴェル:古風なメヌエット
●同:亡き王女のためのパヴァーヌ
●ドビュッシー:映像第1集、第2集
 ○サティ:グノシェンヌ第1番
 ○ショパン:幻想即興曲 op.66
⇒アンヌ・ケフェレック(Pf)


この日は14時から新日フィルのマチネーがあって、欲張ってはしごを計画した結果がこれ。首都圏でコンサートに行かれている方はよくおわかりと思いますが、チラシ束のなかでひっそりと自己主張している小さなフライヤー、「都民劇場音楽サークル」の主催公演に初潜入。

「都民劇場」は年間10公演ほどの会員制音楽会を主催する公益財団法人です。きっと発足時に進歩的な若人だった人びとがどっと入会したからなんだろうけど、客席にいるのがある特定の世代だけ、というのは本当に壮観。噂に聞いていたとおり、客席高齢者率の極まりにドン引きである。4階サイドから見下ろされる白髪禿頭軍団の数は、N響定期とか全然めじゃないです。

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後半のラヴェル+ドビュッシーは予想の範疇に収まる、親愛の手頃感(亡き王女がレガート排除のぽこぽこした音楽だったのは驚いたけれど)
むしろ前半の「バロック音楽」が、僕にとってはエキサイティングだった。

ケフェレックはたしかに元々こういうピースをレパートリーにしているはずだけれども、はてつらつらと考えてみるに、今日の世界を飛び回るコンサートピアニストのなかで、ケンプ編やマイラ・ヘス編のバロック小品を今でも(アンコールじゃなくて)正プログラムに堂々と乗せる人物がどれくらいいるだろうか。

僕はこの日、彼女の控えめで清潔なピアノが「バロック音楽」を奏でているのを聴き、1960年代や70年代のとある晩に迷い込んでしまったような、とても不思議な感覚に襲われた。昭和の日本で遺されたライヴ録音でしかもはや聞けない、恐ろしくせっかちな拍手がいまだにこのサークルに受け継がれていること、文化会館の昭和モダン内装なども、その感覚を補強する。コンセプチュアル。

もちろん彼女のプログラミングが巧妙なのも重要。当夜はヘンデル2曲でバッハやマルチェッロをサンドし、ちゃんと「組曲感」を醸成するんだよね。おしまいのヘンデルはちゃんとシャコンヌだし。
演奏実践じゃなく、作法から構築した古楽。とても佳かった。

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さて本公演。咳、くしゃみ、いびき、鈴、飴ちゃん、私語、ナイロン上着のがさごそ、曲中の勘違いシッタカ拍手、フェルマータに被さるフラ拍手、携帯電話着信まであって、およそコンサートで考えうるすべての災厄が客席から巻き起こっていた(咳と鈴が幻想交響曲みたいな掛け合いを演じてたのには笑ってしまった)

なんとなく、このサークルの会員たちは、外のコンサートには出かけないんだろうなあと推察する。今日のフツーの音楽会マナーを純粋に知らないんだろうなあ。外からの一見さんも、こんなにマナーを知らない集団の会員になろうなんて思わないよ。少なくとも僕は、もう二度とここの主催公演には行かないことにしました。このままだと老益財団法人として20年くらいで自然消滅しちゃうんでないかしら。。

すみません。ぐちぐちと書きました。最後にこれでお口直しを。



↑ケフェレックおばさんが選んだ「組曲」のラストナンバー。

by Sonnenfleck | 2012-12-15 08:25 | 演奏会聴き語り
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