アルバン・ベルク四重奏団来日公演:大オチ

昨日の今日ですが。
でも昨日のエントリで《ロザムンデ》に触れたのは、今日のこの演奏会が念頭にあったからなんです(言い訳>誰に?)。

【2005年6月1日(水)19:00〜 来日公演/グリーンホール相模大野】
●シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲 第12番)ハ短調 D. 703
●同:弦楽四重奏曲第10番変ホ長調 D. 87 op. 125-1
●同:弦楽四重奏団第14番ニ短調 D. 810《死と乙女》
 ○アンコール モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調 K. 465 《不協和音》〜第2楽章
→ギュンター・ピヒラー(1stVn)、ゲルハルト・シュルツ(2ndVn)、
 イザベル・カリシウス(Va)、ヴァレンティン・エルベン(Vc)


小田急線の相模大野は僕の住む街から最短でも50分、何もなければまず行かない場所です。でも僕をしてそこへ向かわしめたのは、ホール開館15周年記念の特別価格(区部のホールではちょっと考えられない値段!)で世界のアルバン・ベルクが聴けるからということでした。また今回のABQ来日公演は、Vaのトーマス・カクシュカが体調を理由に離脱、代わりに弟子のイザベル・カリシウスが参加しています。メンバー不動型の彼らにしては異例のこの状況が聴ける、というのも(彼らには申し訳ないけど)足を運んだ理由のひとつです。
さて会場が「大ホール」ということで、音響的にかなり不安があったんですけど、入ってみると紀尾井ホールに毛が生えたような規模(形状は扇形)で一安心。それでも入りは七割強…紀尾井が一瞬で完売してたのとはえらい違いです。僕は2階左端最前列をチョイス。2階席両端は前方に迫り出してるので、演奏者との距離は至近です。

オール・シューベルト・プログラム、1曲目はいわゆる《四重奏断章》。
痙攣するような不気味なトレモロが1stVnから伝染していきます…が、開始30秒ほどで地震発生。舞台のライトが大きく揺れてヒヤリとしますが、なんのこともなく演奏は続く。プロ根性ですねー。でもこっちはその後もドキドキしてしまって集中できず●ホールで地震に遭うのは今回が初めてです。
2曲目は変ホ長調の第10番。
僕は各カルテットの個性が聞き分けられるほどこの様態には詳しくありませんが、少なくともABQの特長は理解できました。彼らはやはり、圧倒的に語り口が巧い。引き込まれますもん。特にピヒラーが主旋律を弾く箇所の、巧みにツボを押さえた聴かせ方。アルバン・ベルクという四重奏団の非常に高い人気も納得です(ただ、嫌う人からは徹底的に嫌われるというその訳も、なんとなくわかってしまった)。
そんなわけで、後半の《死と乙女》は、彼らの力をわれわれに見せつけるのにうってつけなのです。
例の第1楽章冒頭の主題で、客席は息を飲む。速めのテンポによる厳しいモデリング。対比的な第2楽章での穏やかで耽美な歌い方。聴き手が「こうでなくちゃ」と思うことを、とてつもなく高いレベルで実現させるんですよね。こりゃすげえ。臨時メンバーのカリシウスも、臆することなく大先輩たちに挑みかかる。しかし、、ピヒラーに疲れが出たか?第2楽章の第2変奏くらいから音程が乱れ始め、速い部分では結局最後まで冴えなかった。ただしそこはVcのエルベンがしっかりとリード、特に静謐な部分での語り口の妙は、まったく褪せないのです。第4楽章最後でシューベルトらしいゼクエンツを伴う盛り上がりの力強さ、脱帽ですね。。

盛大な拍手に応えてアンコール。2ndVnのシュルツが日本語で短く挨拶、モーツァルトの《不協和音》第2楽章を弾き始めるメンバーたち。
しかしこのとき、またしても地震が!!!!!!!!
今度は前半のものより長く揺れ続け、さすがの彼らも演奏を途中で中断、、そのままうやむやに終了してしまいました。そう、世界に冠たるABQが「本当に不協和音を出しながら」空中分解する様子が聴けるという贅沢なオマケつきだったんですねー(笑)
by Sonnenfleck | 2005-06-01 23:25 | 演奏会聴き語り
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