ポーランドよ、永遠に野蛮なれ!

c0060659_23313847.jpg【Passacaille/972】
<Barbarian Beauty>
●テレマン:Rec+Vgambのための協奏曲イ短調
●グラウン兄:Vgambのための協奏曲ニ長調
●ヴィヴァルディ:Vn+Vcアッリングレーゼのための協奏曲イ長調
●タルティーニ:Vgambのための協奏曲イ長調

→ドロテー・オベルリンガー(Rec)
 平崎真弓(Vn)
 マルセル・コメンダント(ツィンバロン)
⇒ヴィットリオ・ギエルミ(Vgamb)/イル・スオナール・パルランテ・オーケストラ

後期バロック音楽に「ポーランド風」という薬味が存在していたことは、たぶんよく知られていると思います。それを、お豆腐と薬味を「同量で」食してみるとどうなるか、という素敵なコンセプトのアルバム。最近よく読ませていただいているブログ、mondnachtさんで紹介されていたもの。

まずは最初のトラックが、ツィンバロンによるインプロヴァイゼーション。

うおっ!と思っていると、続けざまに繰り出されるのがテレマンの有名なリコーダー+ガンバ協奏曲。たーーーくさん残されているテレマンのポーランド風作品のなかでも特に東方気分が強いこの曲で、当たり前のようにツィンバロンが遊撃的に(あるいはときに通奏低音的に!!)挿入されています。

でも、それだけなら騒ぎ立てる必要はない。
ガンバソロかつアンサンブルの組み立ても行なっているヴィットリオ・ギエルミが、作品のフォルムが破壊される寸前のところまで「野蛮な」音楽を演出しているんだよなあ。この曲でこれ以上どろどろに土臭い演奏がかつてあっただろうか?最終楽章のアレグロなんかツィンバロンによって全面的に修飾されつつ、どったどた、どたっ、ばったり!どた!という重たくて快活な舞踏が展開されている。

いいですか。たとえば90年代のイル・ジャルディーノ・アルモニコの名録音に聴くメソッドは、あくまでもアントニーニの西欧的なセンスの延長線上にあったと思うんだけれど、ギエルミがここでイル・スオナール・パルランテに命じているのは、縦ノリが最重要視される東欧の動的センス。
イルジャルをマニエリスムの最高級袋小路と表現していいなら、イルスオナールは、もしかしてこいつが真性のバロックじゃねえのかい?ポルトガルの真珠が、ポーランド方面の田園から協賛されるという面白み。

+ + +

テレマンに比べるとグラウン兄(ヨハン・ゴットリープ)はインテリっぽいよね。フリードリヒの宮廷を経由してヴェネツィアへ遠くこだましたツィンバロンの響きは、最後にパドヴァから空中に消えてなくなる。

ギエルミのガンバ、以前から巧いなあと感じていたけれど、熱心に彼のソロを聴くのは初めてかもしれない。ライナーの最後に、兄ロレンツォと一緒にやるバッハのガンバ・ソナタ集とフォルクレ集が告知されてて熱いですね。
by Sonnenfleck | 2013-02-28 23:35 | パンケーキ(18)
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