[感想文の古漬け]Ensemble Diamante ~織り込まれた宝石~@近江楽堂(9/23)

ぬか床の底に沈んでいるのを無理やり引っ張り上げてきました。これ、昨年の9月じゃありませんのよ。「古漬け」シリーズ屈指の古漬け。

+ + +

c0060659_22504992.jpg【2011年9月23日(金祝) 13:00~ 近江楽堂】
●テレマン:トリオ・ソナタ イ短調 TWV42:a1
●バッハ:Vgambソナタ ニ長調 BWV1028
●ヘンデル:トリオ・ソナタ ハ短調 HWV386a
●バッハ:トリオ・ソナタ ハ長調 BWV530
●テレマン:トリオ・ソナタ ニ短調 TWV42:d10
●ヴィヴァルディ:Rec協奏曲ヘ長調 RV100
 ○テレマン:トリオ・ソナタ イ短調 TWV42:a1~グラーヴェ
       トリオ・ソナタ ニ短調 TWV42:d10~プレスト
⇒アンサンブル・ディアマンテ
 宇治川朝政(Rec)、木村理恵(Vn)
 ロバート・スミス(Vc, Vgamb)、福間彩(Cem)


同じ月に行なわれた新大久保に続き、初秋のバロックアンサンブル第二弾。アンサンブル・ディアマンテの日本デビューコンサートへ。
前にも触れたとおり、彼らはブリュージュ国際古楽コンクールで第二位を勝ち取った団体。その自信のほどが、王道直球ど真ん中のプログラミングに表れてるよね。

古楽運動のなかの「吃驚させてやろう精神」はすでにまったく廃れている。
にも関わらず、名前のある音楽評論家や、ふだんバッハ以降を中心に聴く一般の音楽愛好家たちの間で、今でも「古楽=吃驚させてやろう精神」という図式が幅を効かせているのは、実に嘆かわしい。
今時の若くて優秀なアンサンブルはみなそれをよく承知しているので、ノリントンやオノフリのようにそれが彼らの個人様式にまで完璧に高められているならいざ知らず、無駄に派手な装飾や自己満足のためのフレージングなどはもう出てこない。もうそこで勝負する時代じゃないんだもの。

であるならば、アンサンブル・ディアマンテの勝負どころはどこか?
彼らの演奏は、真新しくて気の利いた建築物みたいな印象だ。様式への忠実なフィット感と、理知的合理的な振る舞い、上品で誰にでも好かれる心地よい雰囲気。こうしたものがない交ぜになって、アンチ吃驚とでも表現すべき力強い安定した推進力が醸成されている。安定感が一番の売りであるアンサンブルが古楽に登場して、いったい何の問題があるだろう?

例えば後半の3曲。バッハのオルガントリオ→テレマンの古典派漸近→ヴィヴァルディの典型的お祭り騒ぎと、様式の違いがまことに甚だしいわけだが、このズレを連続して描き分けるのは簡単じゃないです(バッハのオルガン鍵盤とヴィヴァルディのヴァイオリンが同じはずはないもん)
でもディアマンテの4人は、巧妙にフレージングとアーティキュレーションを変化させてちゃんと別の音楽にしていたような気がする。素晴らしい手腕と思う。

(ここで2013年に戻る)

最近は活動がストップしている(僕が知らないだけかしらん)のが残念なアンサンブル・ディアマンテ。あとはリクレアツィオン・ダルカディアが休日の公演をもっともっともーーーっと増やしてくれることを切に望むサラリーマンです。
日本発の古楽アンサンブルがBCJとかアントネッロだけだと思っている皆さん、それはまだまだ甘いですよ。聴くべき団体が多すぎる。
by Sonnenfleck | 2013-03-21 22:59 | 演奏会聴き語り
<< [不定期連載・能楽堂のクラシッ... ロバート・キャパ/ゲルダ・タロ... >>