熱狂の復習―5月4日(土)その2|音速でカニサレる我等。

c0060659_21527100.jpg【246】5/4 1930-2015 ホールC〈プルースト〉
●深淵
●アルペジオの架ける橋
●彗星の雨
●カリブ海
●悠久
●真珠の首飾り
●魂のストリング
●鳩
⇒カニサレス・フラメンコ六重奏団
 フアン・マヌエル・カニサレス(1stGt)
 フアン・カルロス・ゴメス(2ndGt)
 ラファ・ビジャルバ(Perc)
 イニィゴ・ゴルダラセナ(ベース)
 チャロ・エスピノ(フラメンコダンス、カスタネット)
 アンヘル・ムニョス(フラメンコダンスとカホン)


直前の、悔悟に沈むフォーレから抜け出せなくて、こんな気持ちからのフラメンコなんて絶対ムリ!と思っていた。
しかしね。音楽の力は偉大なんである。ぴあの抽選システムがツキを運んできて、座った席は1階中央6列目、目前の楽団とダンサーから吹き出してくる乾いた熱風が、フォーレをドライに包み込んで別フォルダへの保存を許した。

この日まで僕は、フラメンコってもっと、運動性能がそのまま音楽になったようなマッチョな音楽だと思っていました。
でも、少なくともこのカニサレスという猛烈なヴィルトゥオーゾが作曲するフラメンコ音楽は、もっと洗練された野卑を志向していて、フォルムと情動のバランスを意識するような瞬間が連続的に現れる。ドメニコ・スカルラッティのソナタや、アルベニスやグラナドスや、ときにはモンポウからさえも遠くない。

百聞は一見にしかずです。次のクリップをご覧あれ。


↑ダンス付きの《真珠の首飾り》。見得の切り方は、その音楽の切断面も含めて歌舞伎と一緒です。ダンサー2人の臀部筋肉の発達ぶりに驚愕。


↑これは当夜の「パルティータ」の最後に置かれた《鳩》というナンバー。これはジーグだよね。耳の焦点を変えるとヘミオラもどきが…。

+ + +

カニサレスはすごく悪セクシー、しかも(しかもよ!)左派インテリみたいに軽く超絶技巧をキメていく。彼の音符の粒立ちの見事さ…そして纏っている空気の濃密な薫り。生で聴くリストとかパガニーニってこんな感じだったんだろうね。こんなに悪セクシーなパフォーマンスをやってくれる音楽家なんか、PfやVnではもはや絶滅状態でござ候。鈴木大介さんが彼との共演に興奮されてたのがよくわかった。

彼はラトル/BPOのヨーロッパコンサート2011でアランフェス協奏曲のソロを取ったので、クラシックな皆さんもいつの間にかお聴きになったことがあるかもしれませんよ。僕は注目していくことに決めた。
by Sonnenfleck | 2013-05-15 22:37 | 演奏会聴き語り
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