山奥から帰ってまいりました。もう多少の蛾や蜘蛛には負けません。
今年、2005年は、マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ Marc-Antoine Charpentier の没後301年にあたります(1643-1704)。リュリとドゥラランドをつなぐ世代であるシャルパンティエ、最近でこそよく知られるようになってきましたが、フランスバロックの巨大な森のなかで彼が占める位置はまだまだ小さく、その実力に比してこの扱いはひどいんじゃねー?という感じであります。この作曲家が残した作品のほとんどは宗教曲とオペラであるため、器楽曲が大好きな日本のクラヲタの間にはなかなか浸透しないんでしょう●● さてシャルパンティエの「柔」をよく示しているのが、代表作である《真夜中のミサ》であります。 「真夜中のミサ」がおこなわれるのは「クリスマスの真夜中」。この作品でシャルパンティエは、クリスマスに歌われる民謡であるノエルを各部分の主旋律として引用し(ジョスカン・デ・プレが使ってたような「定旋律」ではない)、インティメイトな雰囲気を見事に作りだしてます。同じ課題を与えられたとしたら、たとえばリュリならもっとキリリとした隈取りを施すだろうし、クープランならもっとクールで都会的な流線型の枠を作るんでしょうが、シャルパンティエの素朴な温かい筆致は本当に魅力的。演奏は(ちょっと流麗すぎるような気もしますが>管楽器、特にFgはもっともっとボソボソしててほしい)クリスティ/レザール・フロリサンのERATO盤がオススメです。 対して「剛」のシャルパンティエを象徴するのが《テ・デウム》。多く「テ・デウム」は戦勝を祝する性格を持っているのでここでの彼の筆は一気に開放的になり、Tpとティンパニが大活躍する輝かしい仕上がりとなっています。 非常に有名なメロディを持った1曲目の〈前奏曲(凱旋行進曲)〉は、VPOのニューイヤー・コンサート中継の導入曲だとか、ぐるナイの「ゴチ」だとか、いろいろな局面で使用されてますね^^;; 第8曲〈主よ、この日に私たちが〉では、重唱の間隙を縫うように浮かび上がるリコーダーやソロVnの繊細な美しさに溜息が出ます。。 オススメ演奏はニケ/コンセール・スピリチュエルのGLOSSA盤。作品が持つ豪快な音響を殺すことなく、すっきりとした見通しのよさを巧みに実現させています。ここでの軽いフットワークときつめのアーティキュレーションは実に刺激的。今年5月の来日公演中止はドンマイでしたが、ぜひとも生で一度聴いてみたいオケです。
by Sonnenfleck
| 2005-08-31 22:37
| パンケーキ(17)
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Comments(2)
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大学生
at 2007-04-26 15:53
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シャルパンティエについて、プレゼンテーションしたいと思っています。参考文献などございました教えてください。
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Sonnenfleck at 2007-04-26 21:29
>大学生さん
ニューグローヴ音楽辞典の「シャルパンティエ」の項などご覧になったらいかがですか。通り一遍のことならあそこに載っていますよ。
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