鈴木秀美・バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会◆第1夜:踊る。

【2005年9月2日(金)19:00〜 フィリアホール】
●バッハ:組曲第1番ト長調 BWV. 1007
●同:組曲第3番ハ長調 BWV. 1009
●同:組曲第5番ハ短調 BWV. 1011
 ○アンコール 同:組曲第4番変ホ長調 BWV. 1010〜サラバンド
→鈴木秀美(Vc)


ようやく解禁です。
コンサートゴーアーにとっての8月は、絶望的な不毛。親子で楽しむファミリーコンサート?オルガン探検隊?楽器にさわってみよう?冗談じゃない!面白そうなのはサントリーのサマーフェスティバルぐらいじゃないかっ!(今年も行けなかったけど>片山杜秀の批評を読むと、シャリーノ作品はかなり楽しそうです)

というわけで、大いにうきうきしつつ東急田園都市線・青葉台のフィリアホールへ行ってまいりました。
通奏低音奏者憧れの星、鈴木秀美。BCJのリズムは彼とKbの櫻井茂がたった二人だけでピリッと引き締めているんです。全曲シリーズの第1夜は1、3、5番という奇数プロ。
第1番プレリュードは意外にもかなりのんびりとした様子で始まる。予想していたような鋭いアタックではなく、なよやかで牧歌的なスラーを聴かせます。陽気で気軽なクーラント、余計な肩の力が抜けたサラバンド。「超有名曲」への気負いなど一分も感じさせない、すっきりさっぱりとした演奏でした。ガットカフェに遊びに行ったら、親父が作ってくれた素うどんが滅茶苦茶に美味かった、というような感じ。

ところが続く第3番では趣が突然変わります。あからさまに挑発的なテンポ設定のもと、涼しい顔で超絶技巧が展開される。僕の座った席は奏者の右手真上だったのでボウイングがよく見えましたが…ありゃあ唖然としましたですよ。C線の表情のなんと豊かなこと(というか、実はこれまでになく重いアクセントから生まれる対比)!このトリックスター的な演出は組曲全体を貫いていて、前曲との著しい差異が気持ちいい。いたずらっぽいブーレ。

後半は第5番。前半ト長調→ハ長調と来て、後半にどどーんとハ短調が置かれると一気に深刻な空気になります。バッハといったらロ短調かもですが、例のやたら格好いいパルティ−タ第2番なんかにはハ短調への愛も感じられますね。
この組曲の聴き所は、やっぱサラバンドでしょう。ロストロポーヴィチ風に重くしようと思えばいくらでも沈滞可能な舞曲ですが、これは(予定調和的に)拍感の勝利というか、鳥の羽のように軽く舞う、ストイックながら心地よい提示でありました(サラバンドで拍感を出すのは本当に難しいですよね>僭越ながら)。ガヴォットの揺れも爽快。
アンコールにすてきな「予告編」。第2夜は今月の30日です。
by Sonnenfleck | 2005-09-02 22:59 | 演奏会聴き語り
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