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青少年のためのパーセル入門

青少年のためのパーセル入門_c0060659_21395778.jpg金土と法事で秋田の実家に帰っておりました。刈り入れを待つだけになった黄金の田圃、高い空、そして何より朝晩の冷え込み。んだす!やっぱし9月はこうでねばならねんだす!

ヘンリー・パーセル。
その才能は計り知れないのですが、ヴィヴァルディの《四季》、バッハの《ブランデンブルク協奏曲》のように派手な手触りの作品を残さなかったために、そして「イングランド人」という、カテゴライズ好きの日本のクラヲタが困ってしまうような国籍の持ち主だったがために、日本ではあんまりメジャーじゃないですよねえ。

そこで…手始めに何を聴いたらいいかわからん!というあなたにオススメしたいのが、パーセルの劇附随音楽なのです。パーセルは宗教的な作品で有名ですけれど、生前それと同じくらい(あるいはそれ以上に)彼を有名にしていたのが劇音楽というジャンルでした。王政復古期のイングランドでは演劇が人々の関心を集めておりまして、パーセルもまた当時最先端のフランス風組曲(リュリ!)の手法を用い、その演劇に附ける音楽を大量に生産していたんです。
さて遺された厖大な作品の中で今日、いっとう有名になっているのが《アブデラザール、またはムーア人の逆襲》Z. 570 (1695) という組曲。妙に厳つい名前ですが、組曲を構成する9つの舞曲はどれも天才的に美しい和音の流れを持っていて、聴き始めたら最後しばし恍惚となりますですよ。ホグウッド/エンシェント室内管(しかし日本語訳どうにかならんかな…Academy of Ancient Music。)の切々とした演奏が今のところ好み。ビオンディ/エウローパ・ガランテの暴力的なライヴも捨てがたいのですがー。
ちなみにこの《アブデラザール》の2曲目に位置するロンドーは、かの有名なブリテンの《パーセルの主題による変奏曲とフーガ》Op. 34 の元ネタです。パーセルのスコアを見てからこの曲を聴くと、ブリテンの管弦楽法の巧みさに舌を巻き巻き。
by Sonnenfleck | 2005-09-18 22:13 | パンケーキ(20) | Comments(0)
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