谷中散歩

c0060659_2035892.jpg

「秋がなく、夏から冬へストンと落ちる」今年の東京。ここ一週間で突然寒くなりました。
冬のコートをいそいそと取り出して、今日は名高い珈琲の名店、駒込のカフェ・クラナッハを初訪問…の予定でしたが、日曜定休の張り紙にがっくり。。そのまま六義園の池に飛び込もうかと思いましたが、仕方がないので同行者とともにその足で不忍通りを南下して、千駄木→谷中→上野のほうへ向かいました。
僕は東京の南部に住んでいるので、由緒正しき東京北部の下町は実に新鮮であります。贅沢な幅の幹線道路と、車一台やっと通れるような路地、坂、寺、古めかしい商家と、高層マンション。こうしたものがぐちゃぐちゃに入り乱れつつ、それでも不思議な統一感がある。おもしろい。

■千駄木
乱歩の『D坂の殺人事件』で有名な団子坂を下った交差点の角にある喫茶店、千駄木倶楽部で一休み。煉瓦風ながらどこか垢抜けない雰囲気の外観と同じく(額に入れて壁に飾ってあるのは、湿気でふやけてシワのあるマリー・ローランサンのコピー)、野性的な焙煎香を漂わせてずっっしりと重いオリジナルブレンド。こんな野暮...僕は嫌いではないです。(*でもBGMはシューベルトのピアノ・ソナタ第21番。)
■谷中
団子坂の反対方向へ伸びる三崎坂を上って谷中へ(千駄木は土地が低い)。谷中といったら都内随一の霊園、というわけですが、秋の夕日に照らされた墓地というのもなかなか悪くない。ここに墓があるってのは本当にプレミアムな家だよなあと思いつつ墓石の間をすり抜けて歩いていると、従一位勲一等と誇らしげに刻まれた徳川慶喜の墓所を発見。こんな市中に殿上人の御奥つ城が〜。さすが将軍の墓だけあって訪れている人も多く(あえて寛永寺増上寺ではなく…!)、なかには柵に設置された解説文をドイツ語に訳して読み上げる日本人女性と、それを熱心にメモする初老の白人男性などもおられてびっくり。こんなところにまで。
■上野
やがて東京芸大の裏手へ出ます。
ふと見ると…芸大の美術学部に見慣れぬ建物ができているじゃないですか。オープンテラスとガラス張りのギャラリーに誘われて入ってみますと、、どうやら今月の9日にオープンしたばかりの藝大アートプラザのようである。中には美術学部教員の作品やデザインTシャツ、平山郁夫のリトグラフ、書籍、CDなどがミュージアム・ショップのように販売されていて、同行者は「天下の藝大も法人化の波にこうやって乗らなきゃイカンのねー」とひとりごつ。
(*書籍の品揃えは正直、西美と同じかそれ以下。わざわざ上野公園の奥まで行く価値ははたしてあるのか…。CDは青柳晋や伊藤恵がちらほら、しかし大多数は見事に鈴木雅明/BCJであります。)

秋の日はつるべ落とし。かえろかえーろおうちへかえろ。
by Sonnenfleck | 2005-11-20 20:03 | 日記
<< 懶惰と上滑りの暗いよろこび アイアン名電/続くよ鉄っちゃん >>