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色悪ルードウィヒ・B

色悪ルードウィヒ・B_c0060659_1444230.jpgどうしてもどうしても聴きたくてCDを買うというのはいつ以来だろう。アントニーニ/イル・ジャルディーノ・アルモニコのザラザラしたヴィヴァルディが好きな僕としては、アントニーニがバーゼル室内管を振ったこの新しい演奏(録音:2004-05)はどうしても聴き逃せないのであります。

結論から先に申し上げましょう。
ちょっとでも古楽味の効いた演奏が嫌いな方は、このCDはお聴きにならないほうが賢明です。初めて日本のカレーを食べるアイスランドの少年に、どこぞのチェーンの10倍カレーを振舞うようなもの。この演奏を聴いて「古楽系モダン」を嫌いにならないでほしいからです。
同じくモダンオケを振ったジンマンやノリントンがぎりぎりで踏みとどまった「悪趣味」の一線を、アントニーニは簡単に飛び越えてます。ツッパリだったころのアーノンクールみたいな...意図的な汚い響きをこれでもかと盛り込んで、冗談でないほどの強烈なアクセントを効かせて、、テンポの揺れがほとんどないのはアントニーニの趣味でしょうが、その点に関して、彼は第1の終楽章で実に気持ち悪いことをしているので笑ってしまいます。それに低音楽器をずいぶん増量しているらしく、同音連打の存在感がすごい。

何よりも書かねばならないのは、この録音の弦の音。すべての弦楽器にガット弦を張らせてバロックボウを使わせたみたいですが、このガサガサと荒れた音はまさに70年代古楽のテイスト。これを聴いて古楽器嫌いになったであろう人も多いはずの、あの音がしている!レコ芸で矢澤氏が書いていた「ヒストリカル古楽」という言葉を思い出します。古楽演奏史の中でさらに自己パロディをやってるんじゃないかというくらい…

* * * * * *

これから数日間東京を離れます。帰宅は日曜、でしょう。
by Sonnenfleck | 2005-12-22 15:13 | パンケーキ(19) | Comments(6)
Commented by berlinHbf at 2006-01-03 19:22
あけましておめでとうございます。遅ればせながら、先日のアントニーニの記事、こちらからもTBさせていただきました。古楽はここ最近私がハマりつつあるジャンルで、本当に刺激的ですよね。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
Commented by Sonnenfleck at 2006-01-03 23:48
>berlinHbfさん
新年おめでとうございます!このCD、お正月の間も繰り返し聴いていましたが、何度聴いても新しい発見があってたまりません^o^ いつかは生で聴きたいものです。
こちらこそ本年もよろしくお願いいたします(事後報告になってしまって申し訳ないのですが、そちらとリンクさせていただきました◎)
Commented by jurassic_oyaji at 2006-01-31 16:26
sonnnenfleckさま、はじめまして。
後先になってしまいましたが、TBありがとうございました。こういうものには目がないものですから・・・・。
Commented by Sonnenfleck at 2006-01-31 18:41
>jurassic_oyajiさん
こちらこそ、わざわざコメントありがとうございます◎
このベートーヴェンのように何かしらドキリとさせられる録音、私も大好きです。彼らにはこれからも大いに期待ですね!
Commented by ya-ya-ma at 2006-02-02 20:42 x
いっしょに注文していたディスクの入荷が遅れたためか、だいぶ遅くなってしまいましたが、ようやく聴きました♪
とんでもなくおもしろいです!特に第2番。低弦と金管の暴れっぷりに座布団10枚!って感じですo(*^ー^*)o  
TBしまーす♪
Commented by Sonnenfleck at 2006-02-02 22:59
>ya-ya-maさん
私のほうからもTBいたしました~◎
そうですねえ。「疾風怒濤」じゃ足りないくらい、全然エレガントじゃないですよね(笑)これが快感になるのはあんまりよくないのかなと思いつつ、楽しいのでつい聴いてしまいます。第1より第2のほうが完成度が高いというのは私も同感ですね。
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