Volkov, Solomon, Shostakovich and Stalin, Alfred A Knopf, New York, 2004.
2004年、ソロモン・ヴォルコフがついに「新作」を発表。邦訳が出るような気が全然しないので、先日amazonで英語版を買ってしまいました。(なんといかつい表紙だろう…)
『証言』を書くときにヴォルコフがショスタコに見せ、作曲家が署名したのは彼自身の発言に忠実な原稿数葉だけであって、
ヴォルコフの創作はそうした「ニセ札束@新聞紙」方式の単純なカラクリに拠っている、というのがいまショスタコ研究者の中でもっとも説得力のある見解のようです。でしょうねえ。いかにもそれっぽい。
今回の新作は斜め読みした感じ「『証言』に文句あるんならどうぞ!反論したる!」というノリではなく、あくまで作曲家と独裁者の関係を軸に
「1936-1953の伝記」を単純に構築してるだけみたいなので(驚くべきことにちゃんと脚注がある!)、逆にヴォルコフの立ち回りのうまさが感じられて面白い。もちろん研究者としてのヴォルコフを信用する理由はもはやどこにもないので、すばらしい創作センスによった「よみもの」として見るのが当然です。三が日はこれを読みつつ寝正月、だといいな。(*個人的にはムラデリが労働者たちの前で《偉大な友情》をピアノに編曲して演奏している写真に驚き。こんなのあったんだ。)