クープラン、仮想スキップ。

c0060659_23422622.jpg最近重いものが続いたので、気分を変えてエンタメをご紹介。

リュリやシャルパンティエと違ってクープランは劇場音楽を残しませんでしたが、ただ一曲だけ《劇場風の様式で》という副題を持つコンセールを作曲している。この曲は《新しいコンセール集》の中に第8番として収められてるんですが、この曲集の他の作品がみな短くシンプルな形式なのに対して、この第8コンセールだけは〈序曲〉が用意されそのあとに舞曲が11曲も並ぶという変則的な大きさを持っている。そこでこれを怪しく思ったPeter Holmanという音楽学者が、「第8コンセールは失われたトラジェディ・リリクの素材を使って作曲されたのだ」という仮説を打ち出したわけです。

このコンセプトをもとにしてアルバムを作ったのが、誰あろう、奇才スキップ・センペであります。彼はその第8コンセールの素材と、クープランが残したエール・ド・クール(宮廷歌曲)を使って、プロローグ、5曲のディヴェルティスマン、終曲からなる劇場音楽を再創造してしまった。
その演奏はまさに劇的…クープランをこんなにアグレッシヴに弾いていいの、という感じです。センペというチェンバリストを初めて知ったのは、どこかのネットラジオでもんのすごくノリのいいバッハの1055を聴いてからですが、この録音でも手兵カプリッチョ・ストラヴァガンテ(名前に恥じない暴れっぷり!)とともにまあよく攻める。それに一音一音がぎゅっと凝縮して重い!でも緩急のバランスが巧いので、ゲーベル/MAKみたいなただの凶暴型押せ押せじゃないのがいいですね。フライブルク・バロック管とともに大いに注目している古楽オケです。
by Sonnenfleck | 2006-01-26 01:14 | 日記
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