フジテレビの平日午後枠で
「白い巨塔」の再放送があり、この金曜に完結しました。
本放送のときと同じように前半のクールはいくつかつまみ食い、後半のクールだけをタイマー録画して集中的に見直してみたんですが、やっぱりすばらしい出来ですね。何かと制限の多い週1回45分の民放ドラマという枠の中でこういう丁寧な作り込みを見ると、フジテレビっていうのはまだ捨てたもんじゃないのかなぁと一瞬思います(32分休符)。
最終回はやはり今回の視聴でもグズグズに泣かされてしまったのですが、この回でなんといっても巧いのは
《タンホイザー》序曲から「巡礼の動機」の使い方。(*健康だったころの財前が手術のイメージトレーニングの際に思い浮かべていたのがこの長い動機でした。)
1度目はアバンタイトル部分。
今や手術を受けた財前は酸素マスクをつけて、苦しい呼吸の中
「巡礼の合唱」を口ずさむ。静かにフェードインするオケの演奏、そして
悔悟するようなVcの動機に差し掛かったところで巨塔のイメージと「最終回」の文字。
そして2度目は財前が自分の救いがたい病状に気がついてしまう場面。
メスの代わりのペーパーナイフを取り落とし、肺癌の脳転移は疑いない。高まるVcの懺悔、続いてもう一度
「巡礼の合唱」をコラール風に吹き鳴らすTbに合わせて、嗚咽する財前。そこへ映りこむ里見の姿。
なんですかねえ。ライバルであり友人である二人、財前がタンホイザーで里見がヴォルフラム、というところにはなんとなく辿り着きますよ。でもこの場合、里見は自らの助教授職を投げ捨てて財前を正しい道に戻そうと考えたわけで、むしろエリザベート?ということになる。
...面倒くなりそうなのでこのへんにしときますが、ヴォルフラムとエリザベートを合一するような破壊的な演出は、、あーやっぱり気持ち悪い。