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チチコフ、帰る。

チチコフ、帰る。_c0060659_0545899.gifいつもコメントをくださるiustitiaさんから教えていただいたのですが、今月、ゴーゴリの『死せる魂』上中下巻復刊されます!やたっ!

僕はこの作品がゴーゴリの最高傑作だと思っています。
作者が変なオカルティズムにはまり込んで物語の後半を焼き捨ててしまったため、死せる魂=死んだ農奴の戸籍を集めて歩く主人公チチコフがどのような末路を辿るのかは結局わからないのですが、少なくとも彼が掛け合うことになるロシアの地主たちの醜悪な様子は大いに笑いを誘う。しかもドストエフスキーのように告発を目的にした恨みがましい調子ではなく、あくまでスラップスティック的に乾いているのがステキです。

日本で一般に考えられている以上に、ロシア人にとってゴーゴリの存在は大きいのではないかと思うのですよ。「われわれは『外套』から出た」っていうのは本当はドストエフスキーの言葉じゃあないらしいんですが、ゴーゴリのようにグロテスクなドタバタを下品に笑うスタイルは、ブルガーコフにもショスタコにも、どろどろと流れ込んでいるのじゃないでしょうか。
(*なお同時復刊される『ディカーニカ近郷夜話』はさらにワイルドな魅力たっぷりという噂です。ご一緒にぜひ。)
by Sonnenfleck | 2006-02-10 01:25 | 日記 | Comments(4)
Commented by iustitia at 2006-02-10 02:48 x
ゴーゴリの『ミルゴーロド』(Миргород)第3話の「ヴィー」(Вий)は1967年にソ連で映画化されたのですが、現在国内でもDVDが出ていますね(タイトルに仰天)。
『妖婆 死棺の呪い』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006RTTT/

ゴーゴリの原作の邦訳は、『怪奇小説傑作集 5』『ロシア怪談集』などに収録されています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488501052/
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309460712/
Commented by Sonnenfleck at 2006-02-10 22:31
>iustitiaさん
手元の辞書でВийを見ると「地中に住む恐ろしい老人」とあります(笑)
新作の外国映画の邦題がカタカナ尽くめなのは味気ないですが、この副題はなかなかのB級グルメですね(^^;)
原作も面白そうです。探してみますね。
Commented by iustitia at 2006-10-16 02:16 x
『怪奇小説傑作集 5』の新版が出ていたようです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4488501109/
http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3600
これで、Вийが読めます。
Commented by Sonnenfleck at 2006-10-16 23:11
>iustitiaさん
入手しただけで安心しきっていまだに『死せる魂』を読んでいない愚か者です。。これに『ディカーニカ...』を加えると、Вийにたどり着くのはいつになるか^^;;
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