ビオンディ/エウローパ・ガランテ:□→○

c0060659_2325377.jpg【2006年2月20日(月)19:00~ 東京オペラシティ】
●ヴィヴァルディ:歌劇《バヤゼット》~〈シンフォニア〉
●モーツァルト:交響曲第11番ニ長調 K. 84
●テレマン:組曲ト長調《ドン・キホーテのブルレスカ》 TWV. 55
■ヴィヴァルディ:《和声と創意への試み》 Op. 8~《四季》
  ○アンコール テレマン:組曲ニ長調~〈無窮動〉
  □        ヴィヴァルディ:《夏》~第3楽章Presto


まずショックだったのは、聴衆がかなり入ってなかったこと。1階客席はせいぜい7割、3階サイドにいたっては左右合わせても20人程度という寒風(これはひどい)。
...でもなあ...いちバロクーとして無責任かつ率直に言わせてもらうなら、どうして《四季》やんの??ということなんです。確かにバロックに興味がないリスナーに対してはよくアピールするかもしれないけれど、昨日の集客を見るかぎり、どうもその目論見以上に古楽は人気がない。有名曲を入れたから客が来る、という状況ではすでにないと思うのですよ。
ていうかメインが《四季》だから来なかった層というのも存在してる気がする。マイナーレーベルの新譜やネットラジオを熱心にチェックしている古楽ファンであれば、「ビオンディの《四季》!」というのがいささか古びた宣伝文句であることにどうしても考えが行ってしまうと思うのです。
だからマニアック路線にすればよかったのに!…というのはあまりに傲慢かもしれないけれど、前日19日の《バヤゼット》日本初演のチケットを(ほぼ)即日完売に至らしめた日本のバロクーたちのことも、そろそろ大事にしていただきたいのです。呼び屋サマ。

* * * * * *

舞台中央にチェンバロとテオルボ、それを丸く取り囲むようにして向かって右から1stVn→Va→B.C.→2ndVn。《バヤゼット》とモーツァルトでは1stVnが3プルト・Cb2台という大きめの編成で、弦の後方にHr×2、Ob×2、Fg。(管は多少変動アリ)

1曲目は、前日の《バヤゼット》(ネット上の感想を見ると、かなりよかったようです)から。3部形式のいかにもなイタリア風序曲ですが、ゴリゴリした低弦がよく響いているものの(あの編成の中にCbが2人ってのが笑えます)、曲作りの上でエキセントリックなことは何一つしていない。こうした(かなり意外な!)ナチュラルさはこのあと、プログラムの前半を支配します。

つづくモーツァルトとテレマンは、間違いなくこの日の公演の頂点でありました。
ホール中がきゅっと息詰まるようなpから緩やかに繊細に立ち上っていくクレッシェンドの妙、そしてその円やかな響きは、僕がビオンディとガランテに対して持っていたイメージから大きく外れるもの。モーツァルトの低弦の同音連打とか、《ドン・キホーテ》の描写的な部分とか(〈ロシナンテのギャロップ〉…)、以前の彼らであればもっともっと賑々しくやってたんでしょうが、そうはしない。こんなにしなやかで落ち着いたアンサンブルが聴けるとは夢にも思いませんでしたよ。ビオンディ/ガランテの新譜はしばらく聴いてませんけど、彼らの今を録音しないでどうするんだVirgin!もしくは移籍しろ!というくらい極まってきてます。

(*配布されたプログラムには何も書かれてませんでしたが、モーツァルトの第11番はちょうど《ポントの王ミトリダーテ》と同じころ、イタリア旅行に際して作曲されたものじゃないかと思います。このへんのプログラミングは実に巧い。演奏のほうでも、Vnパートにソロを設けたり、Cemに装飾を入れさせたり、自然な遊び心が素敵でした。)

さて、期待しないでいたメインは、、やはりそれなりの出来なのでした。
同行者とも意見が一致したのですが、《四季》においては彼らは昔の自分たちの演奏に縛られているのじゃないかなあ。演奏が事前に予想できてしまうほどつまらないものはない。だいたいこれくらいの「過激」なら、今はもっとエゲツナイものが他にいくらでもあるし。
《春》が始まった瞬間、硬直し汚く濁った響きにガックリときました。Va犬がワンワン鳴いたり、暖炉の前でVcがうるさかったり、あるいはコルレーニョをやってみたり、《秋》の第2楽章でVnソロパートを全部Cemに弾かせたり。…このスタイルはこのスタイルで一種の完成形だし、これを捨て去ることは難しいのだろうと思うけれど、前半で見せたような落ち着きがここに加わったらどれほどいいか...と思ってしまう。もう一歩、踏み出さないかなあ。

アンコールのテレマンはオール・ピツィカート(チャイコフスキーかと思いました)。
二回目の《夏》は、本演奏よりもノリノリでエンタメ。
by Sonnenfleck | 2006-02-22 00:18 | 演奏会聴き語り
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