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鉱物と音符の交わるところ

鉱物と音符の交わるところ_c0060659_2331964.jpg帰宅@ずぶぬれ。

道中聴こうと思って持っていったのが、プロコフィエフ最晩年のバレエ音楽《石の花》であります。
昨年くらいから大型店の店頭にメロディアの純正品がちょこちょこと並び始めていたんですけど、このたび新サイトも登場するにおよび、ついにメロディアも十数年の低迷を乗り越えて復活か!という状況。しかしその陰で RUSSIAN REVELATION や RUSSIAN DISC などのメロディア音源のライセンスを取って発売していたロシア系の謎レーベルは一時期の高値が嘘のように値崩れしてしまい(レコード店としては一気に売り切ってしまいたいのだろうか?)、このロジェヴェン盤もそこを狙って買い込んだ中の一枚。

地味でつまんなそうな題名じゃないですか。石で花ですからね。《ロメオとジュリエット》みたいなオサレな語感には全然かなわない。…でも、これを聴かずにクラヲタ人生を終わらせるのはあまりにももったいない、そんな逸品なのですよ。
若い石工がウラルの鉱山で石の結晶を見つけ、念願の石の花を彫り上げる。銅山の女王に魅了される石工だったが、最後は恋人の助けで地上へ生還しハッピーエンド。
ソ連っぽい安直な台本はこのさいどうでもよく、ただ耳を傾けるべきなのは、いつもよりさらに明るくて楽しく、そしてとにかく切ないプロコの音楽。20世紀最高のメロディストの面目躍如っすよ。さらにそれだけじゃなく、自己破壊的な音響の名残が部分的に残っているのも萌えポイント高し。なによりこんなにエキゾチックな方向に舵を切ったプロコなんてほかに知らないんですよ。チャイコの西洋@二度漬け@露西亜風味が胡散臭く思えたら、今度は《石の花》のアヴァンギャルド民族舞踊でヴァーチャルにウラル散策。
by Sonnenfleck | 2006-03-02 00:53 | パンケーキ(20) | Comments(2)
Commented by iustitia at 2006-03-03 07:56 x
このバレエの原作は、П.П. Бажов(1879~1950)が故郷ウラル地方の民話をもとに書いた『孔雀石の小箱』の有名な一編ですが、子供のころ好きな絵本でした。バジョーフ自身も参加して映画化していますが、こちらも名作です。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0006TPJ1K/
Commented by Sonnenfleck at 2006-03-03 20:46
>iustitiaさん
ロシアの絵本は完成度の高いものが多いですよね。私は『てぶくろ』という絵本(動物たちが森の中に落ちていた手袋の中に住んでしまうお話だったような)が印象に残ってます◎
それにしても…庭園美術館でやっていた20年代ロシア絵本の展覧会にどうして行かなかったのか、、いま強烈に後悔しているところです(+_+)
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