アンサンブル・ノマド@第30回定期演奏会:「20世紀の古典主義」

c0060659_01557.jpg【2006年3月4日(土)15:00~ 東京オペラシティリサイタルホール】
●バルトーク:《コントラスト》 (*)
●ヴァレーズ:《比重21.5》 (**)
●ストラヴィンスキー:七重奏曲 (***)
●ベルク:アダージョ (+)
●プーランク:六重奏曲 (++)
●ウェーベルン:9つの楽器のための協奏曲 Op. 24 (+++)
→アンサンブル・ノマド
  野口千代光(Vn;*,***,+++)、
  菊地秀夫(Cl;*,***,+,++,+++)、
  稲垣聡(Pf;*,***,+,++)、木ノ脇道元(Fl;**,++,+++)、
  甲斐史子(Va&Va;***,+,+++)、菊地知也(Vc;***)、
  萩原顕彰(Hr;***,++,+++)、塚原里江(Fg;***,++)、
  林憲秀(Ob;++,+++)、服部孝也(Tp;+++)、
  奥村晃(Tr;+++)、中川賢一(Pf;+++)、
  佐藤紀雄(Cond;+++)


いつも気になってはいたものの、、選曲の敷居が高くて二の足を踏んでいたアンサンブル・ノマドの定演でしたが、「20世紀の古典主義」をテーマとした今回はかなり保守的なプログラムだったため出かけてみました。広くはないリサイタルホールを埋め尽くす重度クラヲタっぽい人々に安堵を覚えつつ(笑)プログラムを開くと、「来年度以降の定期演奏会中止のお知らせ」が目に留まります…。一期一会だ。

一曲目のバルトークは軽いジャブ、急速楽章のあけっぴろげな感じと緩徐楽章のねっとり重い空気感の対比もまた楽しい。Vnの持ち替えはどうやら変則調弦のようでした。

続くヴァレーズの風変わりな題名は、初演奏者が吹いたプラチナ製フルートの比重に由来とのこと。少ない音で構成されたソロFlの清冽な旋律とその音が残響になって拡散する様子を楽しむ作品のようで、視覚を奪って音に集中させるためかホール内ははほぼ真っ暗。んで気持ちよく耳を傾けていましたら、、無常にも高らかに鳴り響く携帯着信音(-_-メメ) ただの呼び出し音で旋律じゃなかっただけましかもですが、それにしてもよりによってこんなときに!!!! 木ノ脇氏もこれにはさすがに憮然といった様子で、会場もがっかりムード10.0→10.0→満点。

三曲目はストラヴィンスキーが50年代に作曲した擬古典主義的合奏曲ですが、《プルチネッラ》のような旋律の擬バロックではすでになく、形式の擬バロックという感じ。第3楽章ジーグでVn→Va→Vcと順にスタートするのを聴いて「あーコレッリってこういう定型だよなあ」と。ノマドの皆さんはアンサンブルの組み方がべらぼうに巧く、誰が引っ込んで誰が出るかを明確に決めることの重要性を改めて考えさせられる。

休憩を挟んで後半最初はベルクのアダージョ。これはベルクがシェーンベルクのお誕生日祝いに作曲した《Pf、Vnと13管楽器のための室内協奏曲》から、のちに第2楽章だけを取り出して小さい編成に編曲したもの。...意識を失っていたのでこの曲の感想はパスです。

今回の定演のプログラムで聴いたことがあったのは実はプーランクだけ。この華やいだ作品がホールに立ち上ると、がらりと空気が変わりますね。Obの林氏は楽器の調子が芳しくなく、時折「ギギッ」と異音が混じって苦しそうでしたが、技巧的なパッセージを難なく吹きこなす萩原氏のHrには感激。さらにアンサンブルを統率する木ノ脇氏の抜きん出た存在感は、たびたび挿入されるプーランク特有の残酷な響きにおいて発見されるのでした。ブラヴォ。

さて、自宅スピーカなりヘッドホンなりでウェーベルンの音楽を聴くと、休符に果てしない白々しさが漂うのが悩みのタネ。。(*目下オーディオの世界には足を踏み入れておりませんが、ウェーベルンの消える音・演奏空間の広がりが再現できれば、それこそ理想だと思います。)
そんなわけでウェーベルンは可能なかぎり生で聴きたいのですが、今回の演奏ではその欲求が完璧に満たされたですよ。9人が時に寄り添い、時に対立しながら慎ましやかな音を放り投げていく緊張感!ここでやっと登場した中川氏の打鍵の厳しさがまた最高!

もうしばらく彼らの演奏には触れられないようですが、、こんなことならもっと早く足を運べばよかったなあ。ノマドはまた遊牧の旅に出てしまったみたいです。
by Sonnenfleck | 2006-03-05 00:06 | 演奏会聴き語り
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