ヴィオラスペース2006@名古屋

c0060659_214982.jpgフェドセーエフ/モスクワ放送響のタコ10@サントリー(23日)、大変な名演だったようです。歯噛みしていても始まりませんが…10番マニアとしてはその場に立ち会えなかったのがたいそう悔しい(ガチガチ)。
気を取り直して、、先週の日曜に出かけた公演の感想文を。

【2006年5月21日(日)15:00~ しらかわホール】
●モーツァルト:二重奏曲第2番変ロ長調 K.424
→小栗まち絵(Vn)、店村眞積(Va)
●バッハ:無伴奏Vc組曲第6番ニ長調 BWV.1012
→川崎雅夫(Va)
●武満徹/細川俊夫:《ア・ストリング・アラウンド・オータム》
●バッハ/細川俊夫:コラール《人よ、汝の罪のきさを嘆け》
→今井信子(Va)、野平一郎(Pf)
●ヒンデミット:Vaソナタ Op.11-4
→川本嘉子(Va)、野平一郎(Pf)
 ○アンコール ヴァインツェル:《夜想曲》Op.34
  →店村眞積、今井信子、川崎雅夫、川本嘉子(Va)


この堂々たるプログラム!
2006年、ヴィオラのお祭り「ヴィオラスペース」が初の名古屋公演を開催。選曲のマニアックさに釣られてびよりすとでもないのに出かけてきましたです。

まず最初はN響首席の店村氏とサイトウキネンの小栗さんによるモーツァルトのVnVaデュオ。店村氏のVaは模範的なVaらしい音がするなあ…とムダなことを考えているうちに残念ながら意識が飛びまして、コメントはなし●

続いては、バッハの無伴奏Vc組曲第6番をジュリアードのプロフェッサー川崎がVaで弾くという興味深い取り合わせ。
第6番はあの6曲のなかでもいちばん軽くて幸せな気分に満ちた作品だと思うんですが、やはりVaで聴いてもまったく違和感がない(川崎氏の音は特に太くて温かみがあるということを踏まえてもです)。クーラントで長いスラーの音符が潰れがちだったのが唯一残念でしたが、アルマンドとサラバンドではその曖昧な拍感を逆手にとって、ロマンティックな歌を非常にしっとりと聴かせてくれます。それでもVcのように(たとえばロストロのように)べったりしないのがすばらしい。よく飛び跳ねる陽気なガヴォットに、なぜか涙が出る。

後半の開始は、武満のVa協奏曲である《ア・ストリング・アラウンド・オータム》を細川俊夫氏がピアノ伴奏用に編曲したバージョンのお披露目から。
武満さんの書いていない音は、一音も付け加えていません。オーケストレーションでしか意味のない音は削りました。」と細川氏自らが潔い解説文を寄せているんですが、かなり豊饒な響きのオケ伴奏からそのエッセンスだけを抽出して結晶化したことで、結果的にソロVaの不思議な表情をうまく聴き取ることができるようになっている(はず。原曲は未聴)。
豊かな伴奏の森を逍遥していると「E-F#-A-H-D」の音列が何度もVaに登場し、そのたびにふと我に返るような、、意識が移り変わる様子なのかな。とにかくドビュッシー以上に調性的な曲調に驚きます。今井さんのVaはきつい音がしますが、吹き抜ける冷たい秋風のようで清々しい。

バッハのコラールは甘美…。包み込まれる。

最後はヒンデミットのVaソナタ。初めて聴きます。
常の晦渋なヒンデミットとは違って、後ろのほうにブラームスを望むような力強い曲調。ちょっと斜に構えてはいるものの、民謡風の主題が変奏されていく様子には素直に心が熱くなる。川本さんの音はこの日登場した4人のなかではもっとも太い、Vcのような豊かな響きを特徴とするようで、胸のうちに燻るような浪漫をかき立てられます。
さて第2楽章と第3楽章は一続きの長大な変奏曲なんですが、いよいよ盛り上がる第3楽章の後半、川本さんの苛烈なピツィカートに耐え切れず、なんとVaが断弦!野平氏もおっとと...という感じで弾くのをやめ、一時中断です。弦を張替えに袖へ引っ込んだ川本さんを待つ客席は、静かな、でも熱を含んだようなざわめきに包まれましたが、、数分後演奏は問題の変奏から無事に再開され、頂点へ登りつめて劇的な最後。ブラヴァ!
by Sonnenfleck | 2006-05-25 21:53 | 演奏会聴き語り
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