【2006年10月20日(金)18:45~ 愛知県芸術劇場】
●ドビュッシー:管弦楽のための3つの交響的素描《海》 ●モーツァルト:Vn協奏曲第3番ト長調 K.216 →アレキサンダー・アレンコフ(Vn) 基本的に貧乏性なので、どんなにアレな演奏会でも途中で帰ることはしません。けど今夜は前半を聴き終えて…罷り出ました。 まずはっきりさせたいのは、主役の学生さんたちは全然悪くないということ。いたって誠実・真面目な演奏態度で、自分たちのできる限りのベストを尽くそうという意志が伝わってくる。《海》の〈波の戯れ〉なんか熱く若々しく盛り上がって実によかったと思うし、この曲でこういうやり方もあるのかと感心したですよ。 …問題はただ一つ、モーツァルトのソリストなのでした。 僕はこの人の「オイストラフの弟子、20年以上ウィーン市立音楽院の教授を務めて、今は名古屋芸大の客員教授」というプロフィールを同大学のサイトで読んで、そのソロが1000円で聴けるならと出かけたんです。 ところが、、なんだあれは。 本当に一音も当たらない音程と、弓が擦れる汚い音。ノッているつもりのおぞましい弾き崩しは学生さんたちの縦の線を徒に混乱させ、カデンツァが来るたびに息ができなくなるような不協和音がホールに鳴り響く。仮令どんなに酷い演奏家でもちゃんと探せば何かしら誉められる点があるもんですが、それがない。なんにもない。 いちおう何年かは音楽を聴いてきましたが、ここまで醜悪な玄人に遭遇したのは当夜が初めてであります。音楽でメシを食ってるプロというのは最低でも確保しておかなければならないラインがあると思いますが、何するものぞという感じで易々と開き直っている。普通の神経をしていたらあんなソロを聴衆に晒すことはできないだろう。音楽をなめるな。恥知らず奴。 こんな気持ちでホールの椅子に座っているのは嫌だったので、休憩のアナウンスとともに席を立ちました。後半はきっと素直に熱い学生さんらしいブラ2が聴けたのだろう。残念です。 * * * 先ほど鎌倉スイス日記さんの休止を知りました。 Schweizer_Musikさんの書かれた元記事は、全体傲慢だったでしょうか(だとすれば僕が上で書いた内容なんかは傲慢の極みですから即刻削除しなければならない)。確かに「自分は常に監視されている」という意識が、ブログを運営していく上での基本であることは間違いないのです。次々と炎上する不用意なmixiを見ていると(アタック25の不正とか)、本当にそう思う。 でも―運営上の自主的な規律ではなく今回のように眼に見える外部圧力として現れたのだとしても―それを必要以上に大きく受け取ることは、果たして妥当でしょうか?そして傲慢の断罪という行為そのものは傲慢から自由だったりするのでしょうか? Schweizer_Musikさんの該博な知識に支えられた的確で冷静なエントリを楽しみにしていた一読者としては、ただその復活を願うだけです。
by Sonnenfleck
| 2006-10-20 23:44
| 演奏会聴き語り
|
Comments(3)
Commented
by
Sonnenfleck at 2006-10-21 23:17
>ドクター円海山さん
TBどうもです。このエントリは演奏会の話題なのでTB返しは致しませんが(ごめんなさい)、考えるところは皆さまとほぼ一緒です。大変デリケートな問題で、結局書き手であるSchweizer_Musikさんのご判断に任せるしかないのですが…私は素朴なレベルでのエールを送らせていただきます。。
0
Commented
by
dr-enkaizan at 2006-10-23 00:33
まいどですコメント恐縮です。
>Schweizer_Musikさんのご判断 何とか良い方向に目処は立ってきました ところで名古屋演奏回の件はご災難お見舞い申し上げます。 これと直接関連かどうかは判断に委ねますが・・・・どうもソ連崩壊の余波のロシアの音楽家の出稼ぎ事情と符合するような気もしますね。 それと思いに良い教育者=演奏家ではないという事例であり、何でもかんでも内輪でありがたがるゆえに、前面に押し出す日本の悪しき習慣の犠牲で恥をかかざる得ない顚末のような気もします。 ところで「海の家」的には後半の金管の問題が気になっていますが・・・覚えていたらよろしく願います(笑)・・・でわでわ。
Commented
by
Sonnenfleck at 2006-10-23 23:51
>ドクター円海山さん
〈風と海との対話〉ラストでトランペットが激しくずっこけた以外、学生さんとしては概ね健闘していたと思います>金管。ただし(これは金管に限らないのですが)この日の演奏は「フレーズ感」という視点が完璧に欠如しており、普通ならば表には出てこないVnの伴奏音型やピッコロの断片的な旋律が突然メゾフォルテで登場したり、大変奇妙な聴体験だったのもまた事実^^;全体の中で自分がいま弾いている音がなんなのか、把握できてない学生さんが多かったのでしょう。逆に、この曲がどんな断片群でできあがっているのか、つぶさに観察できたのでよかったです(笑)
|
カテゴリ
はじめに 日記 絵日記 演奏会聴き語り on the air 晴読雨読 展覧会探検隊 精神と時のお買い物 広大な海 ジャンクなんて... 華氏140度 パンケーキ(20) パンケーキ(19) パンケーキ(18) パンケーキ(17) パンケーキ(16→) タグ
日常
クラヲタ
ショスタコーヴィチ
バッハ
旅行
のだめ
散財
モーツァルト
ラ・フォル・ジュルネ
ベートーヴェン
B級グルメ
ノスタルジー
ブリュッヘン
マーラー
演奏会
名フィル
アニメ
ストラヴィンスキー
展覧会
シューベルト
Links
♯Credo
Blue lagoon Blue Moon--monolog DJK Klassik DRACの末裔による徒然の日々 dubrovnik's dream ETUDE Fantsie-Tableaux Langsamer Satz Le Concert de la Loge Olympique minamina日記 mondnacht music diary~クラシック音楽~ Nobumassa Visione preromantique Rakastava SEEDS ON WHITESNOW Signals from Heaven takの音楽 Takuya in Tokyo Valenciennes Traeumereien Vol.2 Wein, Weib und Gesang ○○| XupoakuOu yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真 4文字33行 アリスの音楽館 アルチーナのブログ あるYoginiの日常 アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ アレグロ・オルディナリオ あれぐろ昆布漁 いいたい砲台 Grosse Valley Note ウェブラジオでクラシック音楽ライブ 「おかか1968」ダイアリー 音のタイル張り舗道。 オペラの夜 おやぢの部屋2 音楽のある暮らし(そして本も) 音源雑記帖 ガーター亭別館 河童メソッド ギタリスト 鈴木大介のブログ きままにARTSダイアリー ヽ['A`]ノキモメンの生活廃棄物展示場 クラシカル・ウォッチ 古楽ポリフォニックひとりごと 心の運動・胃の運動 コンサート日記 さまよえるクラヲタ人 瞬間の音楽 素敵に生活・・・したい! たんぶーらんの戯言 ディオニュソスの小部屋 ドイツ音楽紀行 弐代目・青い日記帳 爆音!!クラシック突撃隊♪ブログ。 ♪バッハ・カンタータ日記 ~カンタータのある生活~ はろるど ひだまりのお話 ひねくれ者と呼んでくれ 平井洋の音楽旅 ブラッセルの風・それから ぶらぶら、巡り歩き ベルリン中央駅 まめびとの音楽手帳 萌える葦、音楽をするヒト もぐらだってそらをとぶ やくぺん先生うわの空 ユビュ王の晩餐のための音楽 横浜逍遙亭 よし のフィルハーモニーな日々 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010 & オペラとクラシックコンサート通いのblog リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」 りんごの気持ち.blog 六国峠@ドクター円海山の音楽診療室 私たちは20世紀に生まれた * * * CLASSICA Dmitri Dmitriyevich Shostakovich Pippo Classic Guide Public Domain classic WEBぶらあぼ クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~ クラシック・データ資料館 木曽のあばら屋 佐藤卓史公式ウェブサイト 柳の下 artscape ミュージアムカフェ 豊田市美術館 東京都現代美術館 川村記念美術館 * * * 管理人宛のメールはdsch_1906 ◆yahoo.co.jp までどうぞ(◆=@)。 以前の記事
2023年 07月 2022年 07月 2020年 07月 2019年 02月 2019年 01月 2016年 06月 2015年 09月 2015年 06月 2015年 02月 2014年 11月 more... 検索
その他のジャンル
ブログパーツ
記事ランキング
|
ファン申請 |
||