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名古屋芸術大学オーケストラ 第24回定期

名古屋芸術大学オーケストラ 第24回定期_c0060659_23381655.jpg【2006年10月20日(金)18:45~ 愛知県芸術劇場】
●ドビュッシー:管弦楽のための3つの交響的素描《海》
●モーツァルト:Vn協奏曲第3番ト長調 K.216
→アレキサンダー・アレンコフ(Vn)

●ブラームス:交響曲第2番二長調 Op.73

基本的に貧乏性なので、どんなにアレな演奏会でも途中で帰ることはしません。けど今夜は前半を聴き終えて…罷り出ました。
まずはっきりさせたいのは、主役の学生さんたちは全然悪くないということ。いたって誠実・真面目な演奏態度で、自分たちのできる限りのベストを尽くそうという意志が伝わってくる。《海》の〈波の戯れ〉なんか熱く若々しく盛り上がって実によかったと思うし、この曲でこういうやり方もあるのかと感心したですよ。

…問題はただ一つ、モーツァルトのソリストなのでした。
僕はこの人の「オイストラフの弟子、20年以上ウィーン市立音楽院の教授を務めて、今は名古屋芸大の客員教授」というプロフィールを同大学のサイトで読んで、そのソロが1000円で聴けるならと出かけたんです。
ところが、、なんだあれは。
本当に一音も当たらない音程と、弓が擦れる汚い音。ノッているつもりのおぞましい弾き崩しは学生さんたちの縦の線を徒に混乱させ、カデンツァが来るたびに息ができなくなるような不協和音がホールに鳴り響く。仮令どんなに酷い演奏家でもちゃんと探せば何かしら誉められる点があるもんですが、それがない。なんにもない。
いちおう何年かは音楽を聴いてきましたが、ここまで醜悪な玄人に遭遇したのは当夜が初めてであります。音楽でメシを食ってるプロというのは最低でも確保しておかなければならないラインがあると思いますが、何するものぞという感じで易々と開き直っている。普通の神経をしていたらあんなソロを聴衆に晒すことはできないだろう。音楽をなめるな。恥知らず奴。

こんな気持ちでホールの椅子に座っているのは嫌だったので、休憩のアナウンスとともに席を立ちました。後半はきっと素直に熱い学生さんらしいブラ2が聴けたのだろう。残念です。

* * *

先ほど鎌倉スイス日記さんの休止を知りました。
Schweizer_Musikさんの書かれた元記事は、全体傲慢だったでしょうか(だとすれば僕が上で書いた内容なんかは傲慢の極みですから即刻削除しなければならない)。確かに「自分は常に監視されている」という意識が、ブログを運営していく上での基本であることは間違いないのです。次々と炎上する不用意なmixiを見ていると(アタック25の不正とか)、本当にそう思う。
でも―運営上の自主的な規律ではなく今回のように眼に見える外部圧力として現れたのだとしても―それを必要以上に大きく受け取ることは、果たして妥当でしょうか?そして傲慢の断罪という行為そのものは傲慢から自由だったりするのでしょうか?
Schweizer_Musikさんの該博な知識に支えられた的確で冷静なエントリを楽しみにしていた一読者としては、ただその復活を願うだけです。
by Sonnenfleck | 2006-10-20 23:44 | 演奏会聴き語り | Comments(3)
Commented by Sonnenfleck at 2006-10-21 23:17
>ドクター円海山さん
TBどうもです。このエントリは演奏会の話題なのでTB返しは致しませんが(ごめんなさい)、考えるところは皆さまとほぼ一緒です。大変デリケートな問題で、結局書き手であるSchweizer_Musikさんのご判断に任せるしかないのですが…私は素朴なレベルでのエールを送らせていただきます。。
Commented by dr-enkaizan at 2006-10-23 00:33
まいどですコメント恐縮です。
>Schweizer_Musikさんのご判断
何とか良い方向に目処は立ってきました

ところで名古屋演奏回の件はご災難お見舞い申し上げます。
これと直接関連かどうかは判断に委ねますが・・・・どうもソ連崩壊の余波のロシアの音楽家の出稼ぎ事情と符合するような気もしますね。

それと思いに良い教育者=演奏家ではないという事例であり、何でもかんでも内輪でありがたがるゆえに、前面に押し出す日本の悪しき習慣の犠牲で恥をかかざる得ない顚末のような気もします。
ところで「海の家」的には後半の金管の問題が気になっていますが・・・覚えていたらよろしく願います(笑)・・・でわでわ。
Commented by Sonnenfleck at 2006-10-23 23:51
>ドクター円海山さん
〈風と海との対話〉ラストでトランペットが激しくずっこけた以外、学生さんとしては概ね健闘していたと思います>金管。ただし(これは金管に限らないのですが)この日の演奏は「フレーズ感」という視点が完璧に欠如しており、普通ならば表には出てこないVnの伴奏音型やピッコロの断片的な旋律が突然メゾフォルテで登場したり、大変奇妙な聴体験だったのもまた事実^^;全体の中で自分がいま弾いている音がなんなのか、把握できてない学生さんが多かったのでしょう。逆に、この曲がどんな断片群でできあがっているのか、つぶさに観察できたのでよかったです(笑)
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