演奏開始に間に合って、FMマンセー万世橋。
【2006年11月16日(木)19:00~ NHK音楽祭生中継/NHKホール】 ● ●モーツァルト:《レクイエム》 K.626 →ユリア・クライター(S)、ベルナルダ・フィンク(A) ウェルナー・ギューラ(T)、ルーベン・ドローレ(Bs) アルノルト・シェーンベルク合唱団 ⇒ニコラウス・アーノンクール/コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン ラジオのスイッチをONにした瞬間に流れ出す、コンツェントゥス・ムジクスの無遠慮な音色。 みんなに嫌われてたっていい。こんな「オールド古楽」が結局僕の根っこを作っているのだ。 なんと言いますか、、アーノンクールの変わらなさにとにかく一安心なのです。 キリエ。 A. シェーンベルク合唱団の異常な「立体交差」が、FMですら聴き取れますね。。それを下からヒタヒタと追うCM。しかし、テクスチュアが薄くなる箇所の表現がアーノンクールの中で一段と研ぎ澄まされてきているのは間違いなく、猫の舌のような刺々しさと柔らかさの究極のシンクロが起こっているようです。よく聴くと実は未体験ゾーン、か。 ディエス・イレ。 暴力的な様子が印象に残るわけではなく、むしろトゥッティのフォルテとそうでない箇所との落差に空虚な雰囲気を感じます。上に凸の二次曲線のような潔い発音を意図的に使い出した最初の団体であるCMは、、健在どころか大いにレベルアップしていました。すごい。 ラクリモーサ。 感傷的な旋律を感傷的に演出することは絶対にしないアーノンクール。こういうところを情感ゼロに振らせたら御大に敵う指揮者はいません。モンテヴェルディを聴いてるようでした。 オッフェルトリウム。 ここでようやくジュスマイヤー版でないことに気がつきます(汗) バイヤー版? ベネディクトゥス。 木管を思い切り前に押し出して、くすんだ柔らかさを「わかりやすく」教えてくれます。祝祭的にけばけばしく重たいサンクトゥスとの落差といったらない。 コンムニオ。 知ってるメロディが帰ってきた安心感などまったくない、ピンと緊張した硬い響き。 ホールの巨大な空間を「埋めてやろう」という挑戦的な態度は、各古楽団体へ脈々と受け継がれていますね。最強の第一世代。 + + + 土曜はいよいよ京都に遠征。最強の《メサイア》を聴いてきます。
by Sonnenfleck
| 2006-11-16 22:04
| on the air
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Comments(4)
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at 2006-11-17 03:02
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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Sonnenfleck at 2006-11-18 08:06
はじめまして!お返事遅れてすみません。コメントありがとうございます◎
あの頃からご覧になっていただいてるんですね。。励みになります。 実はこの日、FMでライヴを聴いた段階でもなお、やや懐疑的に感じていたのが彼らの「美しさ」でした。確かに最近のアーノンクールの録音はこれまでになかったような美感が少しずつ現れているようでしたが(まさに新録音の《メサイア》なんかはそれが顕著だと思います)、アーノンクール/CMWというとあの音、という刷り込みがあるせいかなかなか素直に「美しさ」を楽しむことができなかったんです。 でもこちらのご意見を拝見して、生で彼らの「美しさ」を受け入れる覚悟ができました。アーノンクールがけっしてエキセントリックではないということは半ば経験に基づく実、半ば願望で把握してきましたが、今日これからそれが確認できるのかと思うと不思議な気分ですね。憧れ(と言い切ってしまってもいいでしょう)の指揮者を実際に聴く不安と興奮でいっぱいです^^;; 今後ともよろしくお願いいたします。
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barpizz
at 2006-11-20 00:17
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こちらこそ宜しくお願いします。いつも読ませて頂くばかりで(^^ヾ
HPもBlogも無いのでリンク無しですが、これからはコメント公開で書かせて頂きます。 メサイアの演奏評、楽しみにしてます!それにしても、京都でもカーテンコール前の拍手で一悶着あったんですね。。ご存知のとおりNHKホールのレクイエムでもしかり。 最近、20世紀半ばの米国並に妙にフライング拍手する人が増えているように思うのは気のせいでしょうか・・・
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Sonnenfleck at 2006-11-20 22:08
>barpizzさん
あの日の京都の聴衆は、本当に素晴らしい集中力だったんです。翌日に大阪で「モツレク」公演があることもあってか、結局満席にならなかったのですが(S席は当日券がありました)、そのぶん本当に《メサイア》を聴きたい人しか集まらなかったようでした。 拍手も、皆それぞれ自分の時間で感興を表したのち、じわじわと盛り上がるタイプのもので、、上に書いたようなたった一人のフライングでさえも許されるような…まさに至福の雰囲気でした。
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