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ホリガーと「×だめ」の親和

ホリガーと「×だめ」の親和_c0060659_6425674.jpgテレビに興味のない方、視聴しておられない方に対して申し訳ないので、ドラマ「×だめ」に啓発されたCDの感想文はなるべく書くまいと思ってまいりましたが…おととい放送の第8話にてモーツァルトのあの曲がしかと流れるに及び、決意を崩してのエントリ。

モーツァルト作品中、もっとも好きな部類に入るのが、このOb協奏曲ハ長調 K.314です。刷り込み演奏はホリガーの新録音、ASMF(アカデミー室内管)吹き振りの一枚でして、これはそれこそ何度聴いたかわからんですね。今となってはオケの非力さに少なからず幻滅するものの、ホリガーの意志あるオーボエにはいまだにこれ以上はありえないと思わせる力があります。第1楽章のカデンツァなんかは、やっぱり何度聴いても狐につままれたような気分。一体どうすればこの陶器のようにすべすべした盛り上がりを演出できるんだろう。

ホリガーと「×だめ」の親和_c0060659_6431494.jpg正直、ホリガーより音の美しいOb吹きってメジャーオケの首席クラスにはけっこういると思うんですね。でもホリガーはObという楽器がともすると陥りやすい「単調な美のだだ漏れ」を注意深く避け、ひたすらクレヴァーな歌い口で聴かせる。ピンクだとか武士だとかいう刹那的な印象批評を寄せ付けない、人の手で完璧に計算された均衡…。ミューズの不在を批判し、ただの小利口な演奏だと断罪するかどうかは人それぞれでしょうけど、僕は周期的にホリガーに嵌っては、他のオーボイストの本能剥き出しな「歌心」にうんざりしたりします。もちろんシュトラウスのOb協奏曲ニ長調も超一流。

こうやって並べるとフィリップスの臙脂色のラインが映えますね。
by Sonnenfleck | 2006-12-06 06:57 | パンケーキ(18) | Comments(0)
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