2001年のリリース開始から集め続けているNAXOSの日本作曲家選輯ですが、手が伸びるのは段々と限られてきてます。
矢代秋雄、松平頼則、大澤壽人、どれも好きですが、たぶんいちばん多く聴いているのは深井史郎の一枚じゃないかな。 1907年秋田生まれ。 日本海の寒風吹きすさぶ明治の秋田に、稀代のモダニストが生まれたなんて…信じられません。この人は恐れ多くも高校の大先輩にあたるのですが、本当に誇りに思います。。 とにかく深井は、透徹したセンスが冴えまくっている。ラヴェルの模倣から作曲を始めた彼は、おそらく終生そこから出てくることがなかったのだろうけど(本人が「他人の影響を恐れるのは個性の貧弱な輩のすること」と言っている)、そのぶん「模倣」の精度は余人の追随を絶対に許さないレベルに達していると思います。まさに和製ラヴェルだ。 代表作《パロディ的な四楽章》(1936)は、深井が心酔していたファリャ、ストラヴィンスキー、ラヴェル、ルーセルを「パロディ」として潔く表現した小交響曲。 その中で緩徐楽章に当たる第3曲〈ラヴェル〉のテクスチュアは、本家のお株を奪うくらいの「らしさ」です。いくぶん《亡き王女...》の進行に似ていて、終結部のフラジオをはじめあの曲の感傷的な雰囲気に傾きすぎているよう気もするけど、これは《マ・メール・ロア》に挿入されててもまったく違和感がない。日本人でもこういう音楽を作る人がいたんだなあ。。 《ダフニスとクロエ》に野蛮とニセ雄大のふりかけ。紀元2600年シリーズなのに醒めまくりで、国体に媚びる感じがまったくない、バレエ音楽《創造》(1940)。 「ブルックナー開始」でアルプスの霧ではなく密林の靄を描写、遠くから近づいてくる土着の民謡をねっとりと描く和製ボレロ、《ジャワの唄声》(1942)。
by Sonnenfleck
| 2007-02-20 00:04
| パンケーキ(20)
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Comments(3)
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s_numabe at 2007-02-20 01:57
とうにご承知かもしれませんが、その「パロディ的な四楽章」を含むオール深井史郎のコンサートが三月に東京で行われます。
http://www.nipponica.jp/concert/ticket_information.htm これは千載一遇の機会だと思われますので、おいでになりませんか?
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iustitia
at 2007-02-20 07:13
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深井史郎「鳩の休日」の映像を見つけました。
http://www.youtube.com/watch?v=tREPBApWXxc
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Sonnenfleck at 2007-02-20 23:40
>s_numabeさん
これはノーチェックでした! 昨日はまったく意識せずに書いていましたが、考えてみたら深井は今年が生誕100年なんですね。《パロディ的...》ももちろんですが、戦後の未知の作品、しかも声楽曲というのが気になります。。 日本語をどうやって音楽に乗せているのか、その編成が嫌でも「第九」を想起させる《平和への祈り》というのがどういう曲調なのか、うう~聴いてみたい。。情報ありがとうございました! >iustitiaさん これって日テレの放送終了時間に流れていた曲なんですね。確かに「終了」とは思えない華やかな高揚感があります。残念なことに自分はさっぱり知りませんでしたが(笑)
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