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ツナ+タマネギは立派な料理

ツナ+タマネギは立派な料理_c0060659_19355258.jpgいまや空前のベストセラーに成長してしまいましたが、もともとこのマンガってそんなに万人受けする作風じゃないと思うんですよ(特にパリ編になってからは)。「説明の必要なし」と作者が判断した事象については、たとえそのことで幾通りかの解釈が生まれることになったとしてもお構いなく、超ドライなまま何の説明も与えられないわけで。

以下ネタバレ―
ついに千秋父登場ということで、ビターめな空気が全体を覆う第17巻。
常任デビューコンサートはニールセンの《不滅》で大成功(この不安定な曲でブラヴォを浴びまくる千秋の才能が怖い)。そのころ真一のアパルトマンに現れた父・雅之は、息子に対する静かな憎しみを顕わにしてそこを立ち去る。痛烈な窓の描写。
しかし千秋はマルレ・オケの第2回公演、
●チャイコフスキー:幻想序曲《ロメオとジュリエット》
●バッハ:Cem協奏曲ニ短調 BWV.1052
●ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 op.60
で客席に父の姿を見つけてしまい、動揺のあまりベートーヴェンの演奏中に指揮者自ら「落ちる」という最悪のミスをやらかす。
いっぽうコンクールをオクレール先生に禁止されたのだめは、猛練習に励むものの、千秋とはすれ違いの日々。。そんななか千秋がバッハで弾き振りする姿を見てはっきりと嫉妬を覚えてしまい、彼氏なのか音楽家としてのライヴァルなのか、共演したいのかそうでないのか、いじけてるのは自分なのか千秋なのか、、混乱してしまいます。

そうして、千秋雅之のリサイタルを聴きにいってしまったのだめ。
●バッハ:パルティータ第2番ハ短調 BWV.826
●ブラームス:Pfのための6つの小品 op.118
●ベートーヴェン:Pfソナタ第32番ハ短調 op.111
まるでリヒテルのようなプログラムを弾く千秋父の背中から、のだめが感じ取ったのは「ピアノだけ」―。彼が温かみを出せるのは「ピアノだけ」なのかという悲しいのだめの表情。
コンマスとオケの自然なフォローを受けて、千秋は立ち直る?のだめはいつ暴発する?

千秋雅之のリサイタルは、これまで作者が書いた演奏会のシーンの中でも白眉だったと思います。台詞も音符もなく、構図と表情とスクリーントーンでここまで表現するんだな…。そして何より選曲が…バッハのパルティータも第2番というのが実にロマンティックで。
あと1052の第2楽章は本当に難しいと思います。トゥッティをどう捌くか。
by Sonnenfleck | 2007-02-25 19:36 | 晴読雨読 | Comments(0)
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