最近ちゃんとショスタコ聴いてないなあと思いつつ。根底にある愛は不変なのだけど、忙しくて余裕がないときに真摯すぎる音楽に正面から向き合うのは辛いというのが本音だったりします。
まあしかし…久々の休日なので、これまた久しぶりに第10交響曲を聴いてみました(重量級)。
最近タワレコが覆刻している一連のRCAシリーズの中にこれを発見したときは驚きました。チェクナヴォリアンが10番を録音していたなんてまったく知らなかったのです。オケは録音用臨時編成の「ナショナル・フィル」。
第1楽章は、この曲の演奏の中でも最も遅いもののひとつであります。
息子さん旧録音の
(何考えてるんだかサッパリわからない)27分台の他は、レヴィ/アトランタ響やラトル/フィルハーモニアと同じ26分台のどろどろ。展開部の最強奏でまったくアクセルを踏み込まず、あくまでギクシャクと演奏し続けることについては好みが分かれそうですね。ライナーでバーンスタインを例示しているけど、あんなに大胆な緩急はつかない。ただ緩慢で濃厚。
第2楽章はオケが下手なのでちょっと冴えないかもしれません。
第3楽章の第2部終盤では、DSCHとEAEDAが激しく絡み合う頂点で、
DSCHを追い詰めるような金管の猛追撃が合いの手として挿入される(ほとんど一拍早いくらい)。ここまでサディスティックな表現はなかなか他では聴かれないのです。
第4楽章の序奏からアレグロの入りで見事なのは、心臓の鼓動のようなVaを表に引っ張り出している点。この律動が初めから印象づけられることで躁アレグロの枠組みが完璧にできあがるのですよ。そしてそのあとまっっっっったく突っ走らないのが
ボレイコの海賊盤と同じで、冷静を装った狂気、溜め込んだモノの気配を感じさせて萌えです。
―期待を裏切らない、変わった演奏です。もちろんカップリングの《ガヤネー》抜粋も鉄板。
この〈レズギンカ〉はヤバイだろ…。血管切れてるよ…。