【2007年5月17日(木)18:45~ 愛知県芸術劇場】
●ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 op.90 ●同:同第1番ハ短調 op.68 ○アンコール ドヴォルザーク:スラヴ舞曲ホ短調 op.72-2 ⇒クリストフ・フォン・ドホナーニ/ ハンブルク北ドイツ放送交響楽団 何が凄いかというと、昨日の夜は何が凄かったのかということを言葉にできない点。強いて言えば、あれはブラームスのイデアとでも表現しようか。ロマン派オーケストラ合奏芸術の理想が繰り広げられていたような気がする。 …という感じでエントリを終わりたいんですが、埒もないのでもうちょっとだけ捻り出します。 当日の昼まで、行こうかどうか迷ってました。 でも、5月7日にハンブルクのライスハレでドホナーニ/NDRを聴かれた方のエントリを偶然拝見して、心を動かされたのですよ。そうして今あるのはこの方が書かれているのとまったく同じ感想、すなわち今、聴いてみたい、理想のブラームスがそこにはあったという巨大な充実感なんですね(転載ご容赦)。今後ブラームスの交響曲を思い浮かべたら、きっとこの演奏が脳内で再生されるだろう、と。 「既存のイメージ」とどこかしら食い違う箇所を提示して聴かせるのが最近の流行りだとすれば、ドホナーニがやったのはその「既存のイメージ」を極限まで磨き上げる方向。ヴァントが同じオケを振って遺したブラームスにある孤高・質朴といった個性(この文脈では「臭み」と言ってもいいかもしれない)すらここには存在しなくて、まさに大阪公演を聴かれたtakさんが指摘されているとおり「観念の世界の音楽」であったわけです。リズムの設計・和音の構築・バランスの取り方といった価値だけを究極的に信頼した、恐ろしく精密で非人間的な120分。。インテンポ、ロマンティックな余韻はばっさりカット。それでも興奮してくるオケを、暗譜+打点の鋭い指揮で完璧に統率するドホ氏。 端的な例を挙げるとすれば、第1の第2楽章終盤で、コンマスがObとClを従えてソロを張る局面…あそこで聴こえた3者のバランスはたぶんこの先もずっと忘れないと思うし、第3の第4楽章の最後で弦から聴こえた気泡のように儚い響きは…悶絶モノでありました。 いやはや。 関東圏の方々は今日明日でツィクルスが聴けるわけですよね。度肝、抜かれますよ。。
by Sonnenfleck
| 2007-05-18 06:51
| 演奏会聴き語り
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Comments(8)
おはようございます。
ドホナーニ&NDRを聴かれたようで何よりです。 私は都合でどうしても行けなかったんですが、これは今年一番のオケ公演になるだろうと思っていました。 そういえば、しばらく外来オケの公演に行っていないなあ。来年くらいは少し行けるかな・・・。
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リンクありがとうございます。ああ、ブラームスも聴きたかった!Sonnenfleckさんの文章を読んで激しく羨ましく思います。
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Sonnenfleck at 2007-05-19 01:19
>ピースうさぎさん
このコンサートのチラシを見たときは「木曜日…」という感じで固まってしまったんですが、無理矢理抜け出して聴きに行ってしまいました。名古屋圏だと秋にバイエルン放送響が豊田に来るようなので、南北ドイツの放送オケ対決、、次も無理しちゃうかもしれません。。直近ではPMFが楽しみデス。
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Sonnenfleck at 2007-05-19 01:25
>井上拓也さん
いつもブログ拝見してます◎名古屋公演に行く踏ん切りがついたのはそちらのエントリに誘惑されたのもありまして…大変感謝しておりますです。 ドホナーニをこれまで意識して聴いたことはなかったので、これから彼と彼のオケの海賊盤を買い集める楽しみができました(笑)
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agu
at 2007-05-19 09:03
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音楽作りとしては、3番の方がドホナーニ、北ドイツ双方にとって新しい音像であり、私にとって新鮮でした。1番は双方らしい演奏との印象。
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Sonnenfleck at 2007-05-20 06:34
>aguさん
行かれてましたかー。僕は逆の印象で、従来ドホナーニにイメージしていたものに近いのは3番、1番はそれに比べれば若干濃厚な仕立てだったように思います(倍管の音に騙されてるだけかもしれないが)。
はじめまして、Herbと申します。
私のブログを読んでくださり、さらに、コンサートまで、足を運んでいただいたとは、感激です。 それにしても、素晴らしいブラームスでしたね。Sonnenfleck様の感想を読んでいると あのときの感動がよみがえってまいります。 今後とも、よろしくお願いいたします。
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Sonnenfleck at 2007-05-30 22:59
>Herbさん
こちらこそはじめまして!コメントありがとうございます◎ そちらのエントリを拝見しなければ、あの理想的なブラームスを経験することはできなかったわけで、本当に感謝しております。また日本へ来て、今度はマーラーやベルクをやってほしいな…などと妄想を膨らませています。。 勝手ながら貴ブログへリンクを張らせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします!
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