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ふりだしにラヴェル。

ふりだしにラヴェル。_c0060659_74431.jpg自分が出会った最初の「クラシック」は、マゼール/フィルハーモニア管《ボレロ》《亡き王女》なのであります。
今でも、リズムのはっきりしない、感情に惑溺したような演奏が好きじゃないのは、初めに毎日毎日毎日毎日このラヴェルを聴いていたせいなんだろうと思う。これがカラヤンでもなくクリュイタンスでもなく、メタリックな若いマゼールの演奏だったのが運命的です(旧友S氏に感謝)。

今は「ユネスコ・クラシックス」という間抜けな形態でしか手に入らない録音なのだけど、クレンペラー時代末期(たぶん)のフィルハーモニア管が、40歳のマゼールに思いっ切り絞られて、物凄い人工美を発散しています。こんなに膨張しない《ボレロ》は他に知らない(遅れがちなTbソロや、得てして気持ちよく歌われがちなVn軍団へ、スネアが涼しい顔で遠慮なく攻め込むのです)。
もっと正確に言えば、自分にとってはこれこそが完璧なスタンダードであって、肉のついたラヴェルは邪道なのだよなあ。マゼール自身は後年、肉の魔力に取りつかれてしまったけども。久しぶりに聴き返してつらつらと考える。
by Sonnenfleck | 2007-05-25 07:12 | パンケーキ(20) | Comments(2)
Commented by dr-enkaizan at 2007-05-26 09:00
され。

これは昔はセラフィムでの緑ジャケオレンジ横帯という強烈な色彩で1300廉価で売られていたこれから知る人ぞ知る音盤ですね。

この後フランス国立と子供とDGにて「魔法を録音」録音しているのですが、このころの名残があるのでお勧めします
>これがカラヤンでもなくクリュイタンスでもなく、メタリックな若いマゼールの演奏だったのが運命的
 ですね、じっさいクリュイタンスは名演奏なのですが、ある意味オケの付加価値やその他諸々の伝説ゆえに、ラヴェル演奏の門徒を狭めた張本人的音盤として注意の上に聞かれるべきだと思えます。

 実際ラヴェルはブーレーズ最初の録音のほうが魅力的で、そちらのほうが摺込みがあるゆえですが。

全ての柵から突き放し、表現の鋭さで勝負する、マゼール演奏はそれらの先駆だったのかもと思う日々です。
再録音は二度目までは許せますが、三度目のボレロはネタの領域に入っています・・・・うーん。
Commented by Sonnenfleck at 2007-05-26 22:56
こちらにも。
私がこの演奏を聴いたのは友人が編集してくれたカセットテープでのことなので、もとのジャケットのことは知りませんでしたが、、その色彩の刺すような鋭さもあながち方向外れではないものを感じますね。このラヴェル。おっしゃるとおりVPOとの録音では別の方向に尖ってしまったか、あるいはポケモンショック的に鮮烈な明滅のような感じですかね。
「ラヴェル演奏の門徒を狭めた張本人的」クリュイタンス、すーごく納得ですねえ。。クリュイタンス以前にあったスタイルへ先祖帰りしたものとかそろそろ聴いてみたい気がします。ロザンタール命!とか。
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