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かしましい。

かしましい。_c0060659_6551650.jpg【Virgin veritas/7243 5 45290 2 3】
●モーツァルト:VnとVaのための協奏交響曲変ホ長調 K364
●同:VnとOrchのためのロンドハ長調 K373
●同:2Vnのための協奏曲ハ長調 K190
⇒モニカ・ハジェット(Vn)
  パヴロ・ベズノシウク(Va,Vn)
  ポートランド・バロック・オーケストラ

うーん。これは違和感、というより一歩進めて「異物感」としてしまってもいい。。
古楽器によるモーツァルトの協奏交響曲。
もともとモニカ・ハジェットはかなり自分の好みから外れるヴァイオリニストなんですが、ポートランド・バロック管が…なんと総モニカスタイル!いかにもこの人の表現らしく、ギスギス...キシキシ...という音響にはぞーっと総毛立ちます。やっぱりこういう感じだったか。

表現するぞ表現するぞ表現するぞ、、という「下心の見える」アーティキュレーションは、全然面白くないといったらウソになります。オケの骨っぽい音色を我慢しさえすれば、内声が奇妙に浮き出た第1楽章序奏が愉快なのは間違いない。
でもソロが入ってくるところでううーむと唸ってしまうのですよ。
はっきり言って身振りが粗野すぎるんです。人の家に土足でずかずかと踏み込む遠慮のなさ、積極的な表現意欲、この両者は似て非なるものではないだろうか。。古楽アプローチで粗野や乱暴を前面に押し出すのは実に簡単で、しかもアーノンクールやゲーベルが証明したように作品によってはそれ以外考えられないくらい非常に有効に働く方策ですけど、決して全能のカードではない。それがよくわかる演奏じゃないかなと;;
第2楽章はVaのパートが表に出る局面が多いですから、ベズノシウクが醸し出す色気に救われて爽やかなエロスが漂っています。しかし第3楽章はまた粗暴な響きになってしまって、騒がしく幼稚な造形にがっかり。居たたまれない気分になります。

ところがハ長調のロンドはそういった喧しさがプラスに働く曲調なんですねー。面白い。
ゼンマイとバネがいっぱい詰まった音楽時計が駆動しているような感じ。今度はパート間のシンクロニシティにずいぶんと気を配っている様子で、好感度大です。
ただし2Vn協奏曲(こんな作品あったのね)はまたもや乱暴なアクセントが多くて、せっかくの古色蒼然とした通奏低音入りスタイルが生きてきません。まあいいからそんなに焦るなと。

感性を揺さぶられるという意味では面白いのだけど、粗野と機知を履き違えているところが散見されるために、最後まで異物感がまとわりつくディスク。。
by Sonnenfleck | 2007-08-31 07:16 | パンケーキ(18) | Comments(0)
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